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ストーリーに関する記事一覧はこちら → ストーリーのまとめ記事(リンク集)

メイ・インの次は我らが主人公、ヘレナ・ウォーカーのストーリーを紹介します。ヘレナはアイランド→スコーチドアースからの続投となり、今回はロックウェルと共にアベレーション世界へ飛ばされてきました。過去ストーリーをまだ読んでいない方はそちらから読むのをお勧めします。

ヘレナの調査書は合計30枚となります。縦に長いですので、駆け足でいいから大体のストーリーだけ知りたい!という方は最後らへんにある「まとめ」をお読みくださいませ。

読みやすいよう、あくまで私なりにまとめたストーリー内容となりますのでその点よろしくお願いします。原本が気になる方は是非エクスプローラーノートを集めて見てみてくださいませ。それではいってみましょう!


アベレーション編 ヘレナ・ウォーカーのストーリー

(※ )部分はストーリーが分かりやすいよう入れている注釈です。
ストーリーに関する重要な部分や、メタ的な部分については太字にしています。

#01

なんという事…ここは本当に不気味な場所。だけど変に勘違いしないでほしいけど、ここは同時に魅力的でもあるのだ。地下世界に生い茂る植物たちの生態は完全に未知の領域だ。そしてその大半は生物発光性を持つため、森林全体に不気味な美しさを醸し出している。

まさにそう…。不気味という言葉がぴったりだ。ここに来た時からずっと、私はライフルを強く握りしめているものだから、きっとグリップにはその時の凹みが残っているに違いない。

アイランドに帰還すべきだった。みんな私達のことを知っている。もしかしたら救助や支援を提供してくれたかもしれない。しかしロックウェルはその提案を受け入れることはなく、そして私も彼を一人残して去ることはできなかった。

#02

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「最早お前たちなど驚異にもならない、名も知らぬ生物達よ。」私は言った。「ワイバーン、ゴーレム、そして巨大砂ミミズ・・・これ以上何が来ようと私は構わない。」そして相手はこう返した。「Flying Squid-Bat-Murder-Monsters(空を飛ぶイカコウモリ的な殺人怪物)ではどうだ?」と。「ふむ…その名前は多少驚異ではあるな。」私は認めた。

私は午後の間あれら得体の知れない生物達(※シーカーたちのこと)と交戦し続け、同時に罵りもしていた。だが背を向けて逃走しようなどと思ったことはない。数匹ほど倒した後、奴らはロックウェルと私の2人とは戦うべきではないと判断したようだ。心変わりがない事を切に祈ろう。今ある弾薬だけではこれ以上の襲撃を凌ぎ切れるとは思い難い。

それにしてもだ。FSBMM(※先ほどの英名の略称)など我ながら科学者であることを微塵も感じさせないような呼称だと思う。返り血を浴び気が動転している時に考えたものだったから仕方がないのだが…。他にもいくつかの候補を用意している…が、書き記すのはやめておこう。主に私の名誉のために。

#03

私の目にはここの野生生物が魅力的に映ることはないが、豊富な天然資源、特に水には感謝している。ここに存在する岩の透水性は驚異的なものがある。洞窟の壁は結露により常に水が滴り、地面には水のプールが出来ている。長い砂漠生活を送っていた身からすれば、心から歓迎できる環境変化の1つなのだ!水の神よ、この恵み感謝します!

この思いは自分自身だけに留まらないはず。ロックウェルも恐らくは…どうやら何かに気を取られていてそれどころではないようだ。この前は毒キノコの群生地に後先考えず突撃するところを引き止めたばかりだ。この厳しい環境下でうまく立ち回ることは、彼にとっての苦難となるだろう。もっとも、それをあの世代の人間に教えたところで効き目はないのだろうけども。(※おそらく年齢的に性格などを変えることはもうできないだろうという諦めの気持ち)

#04

間違いない。あれは鎧を纏ったメクラネズミだ(※ロールラットのこと)。幸い攻撃的ではなかったため、じっくりと観察することができた。その外観は今までそれが当たり前と思いこんで気にも留めていなかった、ある事に気づかせてくれた。

私がこれまでに遭遇した生物は既存種及び人間の伝説上に存在していたものを基盤にしているのだ。ワイバーンやゴーレムが実際に地球上に存在していた記録などないが、架空の物語の中には描かれていた。あのFSBMM(現在交戦中)でさえも既存の動物たちを寄せ集めて作ったかのようにも見える。

それが意味するものは何か?これら生物が生息するステーションには人間の管理者が存在するのか、単に人知に関する幅広い知識を備え持っているだけなのか、それとも私が藁にも縋りたいほどの心境なのか。今は何とも言えないが、考慮に入れる価値はあるだろう。

#05

どうやらFSBMMの群れが引き返してきたようだ。そして予想通り、これ以上奴らとやり合えるだけの余力など私たちに残されていなかった。だが幸いにも、他の何者かが加勢してくれたようだ。

信じられない事だった!あれほどまでに高速で動き回る人間は今まで見たことがない。身じろぎ1つできない程の刹那、光り輝く銀の鎧(※TEK装備の事)を身に着けた何者かは、先ほどの生物をまるでドードーを扱うかのように引き裂き、殺していった。そして繰り出される協力無比な拳は、洞窟の床を易々と粉砕した。

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超人とも呼べるこの救世主たちの出現は十分に衝撃的ではあったのだが、彼らがバイザーを上げた時、さらに強烈な衝撃が私を襲った。そこには見知った顔があったのだ。メイ・イン、彼女のものが!

この時の事をこうして文章にしたためるのには苦労した。その時の私はかなりうろたえていたから間抜けに見えていたに違いない。彼女もほとんど笑っていた。だが少なくとも、今私は彼女たちと行動を共にしているのは確かだ。

#06

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何て言うんだっけ?「離れれば離れるほど恋しさが募る」?アイランドで活動していた時点で私は、彼女と対等でいられたかどうかは定かではない。だが今では、親友を名乗るに相応しい立場まで上り詰めていると思う。彼女は顔を殴ったことを詫び、私は彼女がここに至るまでの経緯、ネルヴァとの死闘になどについて話をした。彼女はその際に負った傷跡を残していた。言葉などなくともわかる。親友だもの。

また、彼女は宿営地とその同胞たちを紹介してくれた。しかしその装いは常軌を逸している…まるで未来からの来訪者であるような…いやきっとそうなのだ!そう、私達の未来…いつか来る未来。

未来の人間に会ったことは一度もないから、この表現が適切かまではわからない。けれど、メイ・インやロックウェルは過去の人間だ。明らかにここの時代は2008年(※ヘレナが生きていた時代)を大きく超えている事だけは明らかなのだが、一体どれほど先なのだろう?

#07

村への旅路は少し苦労した。ロックウェルと私は、あのハイテクな鎧を装備していなかったため、ロープや梯子、ジップラインを使用する際、度々彼らの助けが必要だった。

だがついに私たちは彼らの村に到着した。その凄さは目に見えてわかる。この一団の持つ技術は信じ難いレベルで、とりわけロックウェルに至っては私より遥かに興味を示している。メイ・インの友人であるダイアナという女性が、私たちの案内役を買って出てくれたのだが、ロックウェルは終始彼女に質問を投げかけていた。幸いダイアナは辛抱強く笑顔で答えてくれていた。

どうやら彼女は自身の時代では航空機操縦士だったようだ。その仲間である村人たちも同じ時代の人間であるらしい。1つのステーションに同一時代の人間がこうも大勢集うのは他に類を見ない。これが意味するものとは一体…?ただの考えすぎならばいいのだけれど。

#08

中止するよう彼らを説得しなくては!こんな事、ステーションが許す筈がない。

「この地は何者にも支配されない。」ライアのこの警告がなければ、彼らの作り上げている物を恐らく私は、誇りと称賛をもって迎え入れていた。ステーションから脱出し、下界の惑星へ逃れるための転送装置だっけ?それ自体は確かに素晴らしいと思う。けれどライアは、かつてオベリスクは村を破壊したと語った。きっと今回も装置の完成を見る前にオベリスクは彼らを皆殺しにする。絶対に。

畜生…。きっとみんな私の事を、手の付けられない気狂い女に見えているだろう。だが私は何とか落ち着きを取り戻し、彼らにとっての終末の予言はもう間近である事を思い出した。まずはメイ・インとダイアナを説得しなくては。あの2人が頼みの綱なのだ。

#09

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驚くことに、この一団の指揮者は私の提案を受け入れてくれた。ただ、まだ少し懐疑的な面持ちを残している。どうやら彼女たちは既に一度、悪戯にオベリスクの1つに手出しをし、このステーションのコントロールセンターに被害を出していたようなのだ。私がしたためた砂漠での出来事の記録を彼らが信じてくれているということは、まだその時の光景が驚異として記憶に刻まれている、そういう事なのだろう。

有難いことにダイアナは私を信用し、オベリスク調査のために小隊を1つ提供してくれた。本当にありがとう。これ以上の言葉が見つからないことが只々悔しい。

しかしこのステーションにおいて、オベリスクを目指すということは命を賭する程の危険が付き纏う。洞窟の外、つまり表層を移動する事になるからだ。メイ・インからも忠告された。出発するためにまず、あの鎧を完全に使いこなすための特訓が必要なようだ。

#10

砂漠での経験は、私に銃器の習熟と肉体の鍛錬を与えてくれたと思う…。洗濯板のような腹筋がないのは無念の極みではあるのだけれど…。それでも私にはまだ戦闘員と呼べるほどの実力はない。これはここ数日間、訓練場でのた打ち回る姿を見た者の目には明白だったことだろう。

メイ・インとダイアナがいてくれたから、私はTEKアーマーごと岩に叩きつけられたり、酔っぱらったドードーのように転げまわるような無様な姿も受け入れられた。衆目の誰かが私の失敗を笑おうとも屈辱的だとも思わない。

幸いメイ・インがオベリスクまで同行してくれる。どうやら未だ不安定な両の手甲が計画全てを台無しにすることもなさそうだ。本当にありがたい。

#11

メイ・インと私は昨日、眼鏡を掛けた優秀なコンピューターの専門家、サンティアゴと共に村を出発した。オベリスクの調査は恐らくこの人に任せることになる。彼は、自分なら端末にハッキングを仕掛けることができるだろうと主張している。もしオベリスクが私の危惧する、強大な力を発動する準備段階に入っているのだとしたら、その矛先を変えられるかもしれないと言った。

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ロックウェルには後方で待機してもらった…と言うよりも、到着以来ずっと村の研究員の手伝いの方に没頭している。彼の調査内容は、あの不気味な、彼自身の名前をつけた血まみれの金属に関するものばかりだった。少々心配ではあるが、幸いダイアナが彼の監視を買って出てくれた。

ロックウェルのために時間を割いている余裕など今はない。村の命運は今日、この調査に握られているとも限らない。刮目せよ、ヘレナ!今なすべきことを見誤るな!

#12

この宇宙ステーションは、この巨大洞窟を構築していることを考えると、他とは大きく異なる構造であるはずだ。ここだけが例外なのか、あるいは各ステーション根本的なところから異なっているのだろうか。私は過去3つの事例を見てきた。そこから得られた知識では、あらゆる形や大きさの形式をもつ可能性があることだ。

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出発以来、私はこの違いについてメイ・インと頻繁に会話を交わしていた。彼女は時々沈黙を保ったままだが、以前と違いあの鋭い眼光で私を焼き殺そうとしているわけではない。ただ遠くを見つめ、所在投げにネックレスをいじるだけだった。飛行機や宇宙船の類をかたどったものだと思うが、一体何処で手に入れたのだろう?

#13

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表層は危険だという彼らの忠告は誇張でも何でもなかった。日中の太陽光は、人間が耐えられるものでは到底ない。この至高の鎧をもってしても、瞬く間に消し炭にされるだろう。そのため私たちは睡眠時間を調節し、夜が更けるまで表層の下で待機しなければならなかった。時間になったら死に物狂いでオベリスクへ全力疾走し、サンティアゴが任務をこなす。そして尻が焼ける前に全力疾走で戻り、かつ誰の犠牲も出さずに帰還するのだ。

ハハッ!私はかつでの大砂漠を悪魔的だと呪った。けれどここはその悪魔をも優に超える!今度の相手は魔王か!?どうしてもっと単純に事を運べないのか。まるで飢えたアロサウルスか何かから逃げ切れとでも言うかのようだ。

しかしこんな人生も私の選択の結果だ。私がその証人なんだ…。

#14

サンティアゴは昨夜からずっと分析を続けている。だが調べずとも、オベリスクが不可解な動作を続けているのは明らかだ。激しく脈動し、地面は規則的に振動を起こしている。ステーション全体が破裂寸前という感じだ。もしオベリスクが消滅しようものなら、それはこの地に生きる全ての生物に対するハルマゲドン(※世界の終わり)であることを意味する。

にも関わらずだ。サンティアゴは分析が必要だと考えている。確かな根拠を求めようと献身する姿勢は、私の科学者としての一面には尊い行為と映る。しかし神秘の探求という誘惑に打ち勝ったもう一面の私はこう判断する。超技術の結晶である宇宙ステーションこそ、真っ先に地獄に落とすべき存在なのだと。

#15

村との調査情報の共有は通信機により行われた。サンティアゴの分析は、現状のオベリスクは非常に不安定であるという私の疑念を裏付ける結果となった。反応が現れるのに数日を要することもある。

しかしサンティアゴはある希望を示した。仮にゲートウェイプロジェクトを凍結したとしても、オベリスクを確実に安定化させられるわけではない。もしかしたらもう村の破壊を阻止できる段階ではないのかも知れない。私達が生き残れる確実かつ唯一の方法、それはオベリスクそのものを停止させてしまう事であると。

彼は続けた。オベリスクのプラットフォーム上から操作を行う事はできないが、あるプラットフォームから操作を行えば、可能な限り遠くへ転送できるかもしれないと。その具体的な場所は…、勿論ステーションの心臓部のことだ。

代償は高い。しかし我々に残された希望は恐らくこの一手だけだろう。

#16

信じられない!成功したのだ!私たちは今プラットフォームの内部にいる!プラットフォームはサンティアゴによって機能を停止させられた。

今私達が立っている場所はステーション完成以前に利用されていたものだろうか?構造は私がかつで目にしてきたコントロールセンター…気味の悪い青色の輝きを放つ金属の洞窟のものと酷似している。周囲には絶えず騒音が鳴り響き、それはステーション全域が稼働している可能性を示唆していた。

うまくいけば、サンティアゴが干渉により阻まれていたコンソールから地図を見つけ出してくれるかもしれない。そして私たちがしなければならないこと、それはコントロールセンターを探し、オベリスクを停止させることだ。ただそれだけ。単純な話だって?それが本当ならどんなに楽なことだろうか…。

#17

私達はステーションの奥底へと進む最中、非常に大きな部屋を通り抜けた。それはあまりにも巨大で、自分達のいる橋からでは底まで見下ろせない程だ。しかしよく見ると、辺り一面、ある物で敷き詰められていることが判別できた。なんとこの部屋は壁の端から端まで生き物の胎児、あるいは卵などの検体管で満たされていたのだ。

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私はアイランドのコントロールセンターで見たホログラムから、各ステーションでそれぞれの生命体が製造されていることは知っていはいたが、実際にそれらの工程が何処でどの様に進められていたかまでは考えたことはなかった。恐竜から巨大な怪物じみたエイリアンまで…、そこにはステーションで生かされていた全ての生物の検体が並べられていた。

私はコンソールにてデータ取得を行うのが楽しみだった。けれど…それを声に出して読んだ後じゃ、メイ・インこそが正しかったのだと私は思う。その考えは馬鹿げていて危険なものに思えたが、正しかったようだ。

#18

アイランドのコントロールセンターにある奇妙なホログラムを見てからというもの、私はこの可能性を心のどこかで考えていたが、向かい合うだけの勇気はなかった。それが直積的であるかどうかに関わらず。

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その部屋はより小さい事を除けば、生物用の部屋と酷似していた。壁に漠然と並ぶ検体管は全て共有の種、ホモ・サピエンスを収容していた。クローンなどではない。少なくともここにいる検体のクローンではない。ここにある標本は全て成人で、それぞれ違う成人(個体)であったのだ。

私もまた、このような場所…コントロールセンターで設計された後、工場で構築される過程を経て生まれて来たのではないだろうか。私の記憶そのものは全て植え付けられたものなのか?否、不可能だ。彼らはあまりにも鮮明で精巧だ。恐らく、何からの方法で、ステーションは時を遡り、どこかの誰かの複製を行っているのだろう。

突拍子もない話に思えるが、私の脳裏に深く焼き付いていて離れてはくれない。感じずにはいられないのだ…これが現実なのだと。少なくとも何者かが私の人生を生きていた。それが私でなかったとしても。

#19

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人間の検体室など誰もが目を背けたくなるものだが、とりわけメイ・インには常軌を逸するほどの異物としてその目に写ったことだろう。彼女は完全に押し黙り、あたかも武装したゾンビの様にサンティアゴの後ろを付いて歩くだけになってしまった。私は事情の全てを説明し、できる限りサポートしようと最善を尽くしはしたが、助けになったかはわからない…。

この可能性に関する私の考えを聞いていた時、彼女が正気を失わずにいられらことが信じられないくらいだ。彼女の時代は、あの忌まわしき火薬が発明されるより700年もかけ離れているのだ。人類を、そして君をも作り出す機械があることなど、理解の及ぶ範疇では到底ないはず。

だが私たちの目的の事もある。彼女の一刻も早い回復を願うばかりだ。こんな彼女の姿、私は耐えられない。

#20

ついに見つけた!この場所こそオベリスク内のコントロールルームに違いない。幸いなことに、以前触れたことのあるコンソールと通じる部分がある。少し彼を手助けできるだろう。早速サンティアゴに作業を始めてもらった。

彼が取り掛かってからしばらく経った。彼はあれこれつぶやいたり、自分自身に罵詈雑言もこぼしていたが、私には彼を非難する気など起きなかった。これは勅撰したことのない出鱈目な出来事だし……。いや、待って!どんでもないことだわ!彼がクラックに成功したみたい!成果は上出来だ。しかし難点を上げるとすれば、浮かれ気分で口ずさんでるあの耳障りな鼻歌はこの場に相応しくないということか…。(※恐らく好きなポップスを口ずさんでいる)

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そして、辺りに轟音が鳴り響いた。逃げなくては!まもなく全てに決着がつくだろう。

#21

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サンティアゴがオベリスクをジャックしたのと同時に、ステーションが防衛システム用の生物達を幾多も解き放った。私達はすぐさまコントロールルームを爆破し、死に物狂いで走った。幸運にもメイ・インの闘争本能が、彼女自身を現実に引き戻してくれた。そして迫りくる幾多の爪や牙を捌きながらも突き進み、我々一行を先導した。その一方で私とサンティアゴのできる事といったら…、精々二人で徒競走を繰り広げる事くらいか。

サンティアゴは逃走を迅速に行うための手段を用意していたようだが、間一髪のところだった。私はポータルが閉まる寸前のところで、サンティアゴを引っ張り出す仕事が残っていたが、やり遂げた。多少強引で、全員の気合と根性で入口を塞ぐ必要もあったのだが、これもやり遂げてやった!

ああ、今日は何て日だろう!?今、私には必要なものが2つできた。1杯の酒、そして世界最長の昼寝だ。それも今すぐに、だ!

#22

もっと興奮するべきだと思うでしょう?事実、私たちは村を救い、宇宙ステーションの本質を確かめた。これでゲートウェイプロジェクトが無事に成功したならば、この狂気の世界から脱出する事も可能になるだろう。この上ない程に素晴らしい。けれど…どうして私はそれを素直に受け取ることができない!?

村へ帰還する最中、私は目についた野生生物のいくつかをスケッチしようと試みたが、手にした筆が紙を走ることは終ぞなかった。原因は何か。砂漠では自己表現の1つとして認識していたが、これは本当に私の意志なのだろうか?仮に機械が何らかの方法で私にそうさせているならば、そこに意思は存在するのだろうか?

どうやら酒が足りていないらしい。それも全くと言って良い程に。

#23

村には任務成功の旨を伝えた。あちらでは我々よりもずっと興奮に沸いているようだ。けたたましい程の拍手喝采が通信機越しに漏れ聞こえてきた。それはサンティアゴが手にした受信器を思わず放り出してしまうほどに。

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メイ・インもその状況には笑みを浮かべた。今、彼女はゆっくりとした歩調で周囲をふらついている。気持ちを整理するために時間が必要なのだろう。

言葉とか思いとか、そういったものは全て自分の意思に因るものだと、私は納得しようとしている。私の記憶がたとえ別の人間のものであろうとも、たとえ偽物であろうとも、このステーションでの出来事は全て、私が積み重ねた選択の終着だ。この先もそれは変わらない。ヘレナ・ウォーカーが何者であるのかも。

私はもう大丈夫だ。

#24

村からの連絡が入った。それは祝賀会などとは遠くかけ離れていた。絶叫や苦痛の呻き、あれは恐らく救援要請だ。通信は聞き取るのがやっとなほど乱れていて、サンティアゴですらノイズを完全に排除できなかったが、聞こえてくる切迫した様子は察するには十分なものだった。ダイアナの声、混乱に惑う叫びの声、そしてロックウェルの名前を叫んでいた。

私達は岐路を急いだ。どうか間に合ってほしい、どうかみんな無事であってほしい。もしロックウェルの身に何かあれば、それは彼を蔑ろにした私の責任だ。

焦燥に駆られずにはいられない。くそ!急げ、急ぐんだ!

#25

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最早手遅れだったのでは…。ここまで破壊の限りを尽くされた村の姿など今までに見たことがない。見渡す限りの瓦礫と、人の亡骸。吐き気がする…。遠くにこの惨事を引き起こした犯人と思われる、紫色の巨大な体躯を持った何者かが洞窟の闇へと消えていくのが見えた。

急ぎダイアナの救助に向かった。だが、彼女は凄惨なまでに傷を受けており、メイ・インの腕の中で息絶えていた。何もできなかった。私には。しかし死ぬ間際、あのモンスターの正体を私たちに託してくれていた。

奴の名、それは……エドモンド・ロックウェル。

#26

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メイ・イン1人にロックウェルの後を追わせることはできない。彼をここに連れてきたのは私。私の責任だ!だのに何故、私はこんな所に縮こまっている?まるで見つかるのを恐れるかの様に声を潜め、こんなことを書きなぐっている場合か?

この数週間、私たちはロックウェルが送り出したモンスター達に包囲されていた。が、今日、ついにしびれを切らしたメイ・インが姿を消した。持ち得る全ての武器を手にした姿は、独りで奴らを倒すと言わんばかりの、獣と見紛うほどの殺気を放っていた。あんな彼女の姿など、今までに見た事がない。ネルヴァが相手の時でさえ、あそこまで憎悪に満ちた瞳をする事などなかったというのに。

ああっ、彼女は差し違えるつもりだ。このままでは死んでしまう。引き止められなかった私のせいで!ならば私が彼に引き金を引けと?友人である彼に?私が独りだった時、優しく手を差し伸べてくれた恩人に!?…それでも決着をつけなければならない。私がやるしかないんだ!

#27

洞窟最奥、マグマが流れる川に囲まれた地で、メイ・インはロックウェルと死闘を繰り広げている最中だった。ロックウェルもはや、触手を振り回し、対する者を薙ぎ払う巨大な怪物へと成り果ててしまっていた。心を整理し覚悟を決めるのに、その恐ろしく、禍々しい顔を一度見るだけで十分だった。

引き金を引く指の感覚が無くなるまで彼女と共に攻撃を続け、奴を撹乱することに成功した。憤怒に支配された空間の中、触手による攻撃は洞窟の大地に大穴を穿ち、メイ・インの放つ止めの一撃は奴をその中へと叩き落とした。

諸共穴底へ墜落しかけたその刹那、私の手は彼女の腕を掴み取った。神に感謝しなくては。もし彼女まで落ちていたら、私は…。何はともあれ、事態が収束する兆しに私は胸を撫で下ろした。

#28

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親愛なるエドモンド・ロックウェル氏へ。

私は覚えています。怪物に成り果て最期を迎えた姿でも、砂漠で発見してから後の、心を閉ざし脅迫概念に苛まれる姿でもない、貴方の姿を。あの時私はあなたからのサインを見逃してしまった。もしそれに気づくことができていれば、この主無き墓にその名前を刻むことができたでしょう。

この墓は私の知る貴方の為のものであり、これからも私の思い出の中に生き続けていく事でしょう。貴方は私の他愛ない話に夜中まで付き合ってくれる朗らかな方で、打算など抜きに馬と食料を提供してくれる方でした。そして尊敬すべき科学者であり、学者であり、そして紳士でもありました。貴方が今何処にいたとしても、私は願っています。貴方の心が安らかならん事を。

貴方の永遠なる親友
ヘレナ・ウォーカー

#29

大暴れしたあの怪物による傷跡は未だ深い。生還を果たしてからというもの、メイ・インは口を閉ざし続けている。ただただ宇宙船の形をした首飾りを見つめ、くるくる何度も何度も手の中で回し続けていた。食欲すら存在していないかの様に、何一つ口に運ぼうともしなかった。

奇跡なのか偶然なのか、ゲートウェイプロジェクトは被害を免れていた。サンティアゴは生存者をチームに組み込み、計画を完遂させると言っている。2週間以内に完成できる予定らしい。

転送装置が完成しても、私が歓迎されることはないだろう。それを責めるつもりもない。ここにロックウェルを連れてきたのは私なのだ。彼により殺された人々、そして引き起こされた破壊…全て私は覚えている。一体どうすれば許しが得られるというのか…。

#30

転送装置は明日完成するよう設定されていた。だからその夜、私は自分の荷物を整理して、みんなに別れを告げる準備をした。サンティアゴは抗議したが、最後には認めてくれた。しかしメイ・インは…。

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あそこまで衰弱した彼女の姿は未だかつて見たことがない。その手はまるで私の体の一部になったかのように私の腕を掴み、頑なに離そうとしなかった。彼女は悲痛な面持ちで、余りにも多くのものを失った、そしてもう何も失いたくないと言い続ける。仮にこの鉄のように硬い手を振りほどいたとしても(多分無理だけど)、私にはこのまま彼女をここに残しておく事などできそうにない。

丁度いい解決策があった。明日、転送装置が開き下の惑星に降り立つことになる。ようやくこのイカレた実験から解放され、自由を手に入れられるのだ。だから一緒にやっていこう。そう、彼女と一緒に。

ヘレナまとめ

アベレーションの世界は不気味ながらも魅力的であるが、生物が凶暴で戦闘に必死であった。ふと近くにいたロールラットを観察してみると、ふとある事に気づく。「これまで遭遇した生物は全て既存種、または人間が作り出した御伽噺の生物がベースではないか?」と。つまりステーションを管理している者は人間か、もしくは人知に関する知識が豊富な者か…と考え始める。

シーカーたちとの戦いで大きく消耗していたところ、何者かが加勢してくれ事なきを得る。TEK装備を着たその一団の動きに驚いたが、一番驚愕したのはその一団の一員にメイ・インがいたことであった。今までの事をお互いに報告し、お互い真の友人となる。そのままメイ・インのトライブにロックウェルと一緒に合流。彼らの拠点へと移動する。

村の設備レベルに驚く。メイ・インとの会話で彼らが未来人であることはわかったが、1つのステーションにこれだけ同じ時代の人間が集う意味とはなんだろうかと考え始める。村の案内役はダイアナがしてくれ、近未来の技術に興奮するロックウェルはしきりに彼女に質問を投げかけていた。

ダイアナ達が「ゲートウェイプロジェクト」という、転送装置を使ってステーションから脱出する計画を進めていることを知り、中止するべきだと彼らを説得し始める。ライアから「ステーションを支配しようとした場合、オベリスクに攻撃されるだろう」という忠告を受けていたためそれを彼らに説明。意外にも一団はヘレナの話に耳を傾けてくれた。どうやら以前に一度やらかしているらしく、一度オベリスクを調べることになった。信用してくれたダイアナが、オベリスク調査に向かうために一小隊を提供。メイ・インもそれに同行してくれることになった。表層は危険であると忠告されたため、調査に出かけるためにもTEK装備を扱えるよう訓練をし始める。

メイ・イン、サンティアゴと共にオベリスクの調査へ出発。調査としてはサンティアゴがオベリスクをハッキングし、危険な状態であった場合は矛先をそらすなど何かしらの対処をしてもらうことになった。ロックウェルは村に到着以来、ずっと研究員の手伝いと自分の研究に没頭している。不気味な金属に執着するその様は見ていて心配だったが、ダイアナが彼の監視役を買って出てくれたのと、一刻を争う今の状況でロックウェルに構っている暇などはなかった。

表層は太陽光に焼かれ危険であったため、夜になるのを待ってからオベリスクへ向かう。到着するなりサンティアゴはオベリスクについて分析し始めたが、激しく振動を起こし、不可解な動作を続けるオベリスクをみているともう一刻の猶予もないのではないかと思われる。そしてサンティアゴの分析の結果、オベリスクは非常に不安定であり、ヘレナの忠告は無視できないという結果になった。

例えゲートウェイプロジェクトを中止したとしてもオベリスクが安定するとは限らない。もう手遅れかもしれない。生き残る唯一の方法は、オベリスクそのものを停止させることだろう。また、心臓部にあるプラットフォームを使えば、我々を遠くへ転送できるかもしれない…とサンティアゴは言う。代償は高くつくが、もうそれしか方法はないのだろうと、全員でその希望に賭けることにした。

無事プラットフォーム内部に侵入。コントロールセンターを探して彷徨っている途中、大きな部屋を発見。その中には壁一面に生き物の胎児や卵など、検体管で埋め尽くされていた。別の部屋では人間の検体管が並んでおり、ある一つの考えが確信へと変わる。「私たちはここで製造され、誰かの記憶を植え付けられた。ステーションに作られた人間」なのだと…。

ついにオベリスクのコントロールルームを発見。サンティアゴが無事オベリスクのクラッキングに成功する。オベリスクをジャックしたのと同時にステーションの防衛システムが作動。大量の生物兵器が解き放たれる。メイ・インが道を切り開き、なんとか脱出に成功する。村への帰り道、今まで自己表現の1つとしてスケッチなどをしていたが、果たしてこれは私の意志によるものなのだろうか?という疑問が頭をよぎる。

村へ作戦が成功した旨連絡。大歓喜に包まれる。メイ・インでさえ笑みを浮かべていた。我々が作られた人間ということについて、気持ちの整理をするのに時間が必要だろう。だがここまで歩んできた歴史は私が積み重ねた選択の結果だ。ヘレナ・ウォーカーが何者であるかは関係ない。私は私だと、自信を取り戻す。

村から連絡が入った。聞こえてくるのは絶叫とうめき声、ダイアナの声、そしてロックウェルと叫んでいる声がする。ノイズがひどいがきっとこれは救援要請だ。どうかみんな無事でいてほしいと祈りながら、岐路を急ぐ。しかし到着したころには村に壊滅していた。紫色の巨体がどこかに消えていくのを視界の片隅に見つけたが、まずはダイアナの救援へと向かう。見つけはしたものの大きな傷を負っており、そのままメイ・インの腕の中で息絶える。彼女は死ぬ間際、この元凶を起こしたモンスターの名前を教えてくれていた。…その名前はエドモンド・ロックウェルであると。

メイ・インがロックウェルを討伐すべく、武器を持って拠点から姿を消した。これは全てロックウェルを連れてきた私の責任だ。友人である彼を手に掛けたくない気持ちはあったが、全て彼の異変に気づけなかった自分のせいなんだと、自ら手を下すことを決意しメイ・インの後を追う。メイ・インは洞窟の最奥でロックウェルと戦っていた。ロックウェルは最早人ではなく、触手を振り回す巨大な化物と化していた。死闘の末、攻撃によって空いた大穴へロックウェルを突き落とすことに成功。一緒に落下するメイ・インを何とか掴み、彼女だけでも守れたことを神に感謝する。

村へを帰還。奇跡的にゲートウェイプロジェクトは被害を免れていたため、サンティアゴが生き残りを集めプロジェクトの完遂を目指す。メイ・インはというとあれ以来口を利かず、食事さえしなくなってしまった。すべて自分の責任だ。例えゲートウェイが完成したとしても、自分が歓迎されることはないだろうと覚悟を決める。

ゲートウェイ完成が目前に迫った為、荷物をまとめて別れを告げる準備をし始める。サンティアゴは抗議の末説得に応じたが…メイ・インは離脱を認めなかった。頑なに手を掴み離そうとしない。「もう何も失いたくない」という悲痛な面持ちの彼女を一人残していくこともできず、一緒にゲートウェイで移動する事を決める。自由を手に入れたら、彼女と一緒に生きて行こう決意したところで、エクスプローラーノートを閉じる。


ヘレナのその後

完成したゲートウェイを通り、メイ・インやサンティアゴ、残りの生き残りらと共にExtinction(エクスティンクション)の世界へ降り立ちます。暫くメイやサンティアゴと協力しながら生活しますが…やがて今までで一番、数奇な運命をたどることになります。



ダイアナ、メイ・インのストーリーがアベレーション編の導入部分とするなら、ヘレナとロックウェルのストーリーはアベレーション編の本編と言えます。特に今回のヘレナのストーリーでは、アベレーションだけでなく、ARK世界の全容を大体説明してくれていますね。何故いろんな時代の人がいるのか。なぜ生態系を無視した生物達がいるのか。そういったARKの根幹部分を今回のノートに記されています。

今までの事を全て要約すると、ARK世界にいる全ての生物は、ステーションによって作られた人造物であり、人でさえも誰かの記憶を埋め込まれた人造人間にすぎず、ステーションが読み込む記憶がランダムなせいで過去や未来の人、いろんな時代の人が出来上がっていた。生態系を無視した生物達がいるのは、減った分だけステーションが補っているから。架空の生物が存在している理由も、何かしらの理由(主に防衛目的だと思いますが)でステーションが「造り出して」いるため。

…といった感じですかね!何気にこれってゲームのメタ的な部分も説明してくれてるんですよね。なんで恐竜たちはリポップするのか。何故我々サバイバーは死んでもまた裸からやり直せるのか。結局はステーションが同じ状態の我々を作り出し、そしてまた同じARK世界に送り出してくれているから…。「死んでもやり直せるのはゲームだから」と思っちゃいますが、ARKの場合実はちょっと違う…という事ですね!やっぱりARKのストーリーは面白いですね~~!

ダイアナは残念ながらここで脱落するという結果になりました。何気にヘレナ、スコーチドアース時からロックウェルの様子がすでにおかしかったことに気づいていたようですね。アーティファクトやエレメントに執着する彼の様子がおかしいことに気づきながらも、ケアを後回しにした結果大惨事が起きた…という感じでしょうか。はたしてヘレナが気に掛けたところでロックウェルが正気に戻っていたかは定かではありませんが、彼女としては非常に悔やまれる結果になりました。



以上!アベレーション編のヘレナ・ウォーカーのストーリーでした。次回は準主人公的立ち位置にいる、エドモンド・ロックウェルのストーリーについて紹介したいと思います。ヘレナたちがあれこれ飛び回っている間彼は何をしていたのか?なぜ最終的に怪物と化してしまったのか?…その真相は彼のノートを読めばわかるようになっていますので、お楽しみに。


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