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前回は何度も登場してきているサンティアゴのノートについて紹介しました。今回はGenesis part2での新規キャラとなる、ニダのストーリーについてみていきたいと思います。ニダはGenesis part2の舞台となっているジェネシスシップの船員となります。我々が探索するまでの間、船は一体どういう状況だったのか…。ニダの記録を見ることでそれを垣間見ることができます。

それでは早速見ていきましょう!

ニダの記録

(※ )部分はストーリーが分かりやすいよう入れている注釈です。ストーリーに関する重要部分やゲームのメタ的な部分については太字にしています。

#01

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私が最新のシミュレーション用の生物の行動モデリングを行なっているのを見つけると、ペリーは我々の崇高な使命について説教を始めた。私は休憩中で、悪いことは何もしていないことを説明しようとしたが、彼女は聞く耳を持たなかった。 故郷のあらゆる生命体の生存が私たちの手にかかっているという分かり切った事実を、あたかも私が理解していないかのような口ぶりだった…

私は船に乗っている誰よりも必死で働いているのに、なぜ趣味をここまで否定されなければならないのだろう?土壌サンプリングから半サイクル程度離れたところで、新たな惑星で生活を再構築するという人類の希望が断たれるわけじゃない。さらに言えば、サーバーの記録から、ペリーも他のクルーと一緒に私の最新シミュレーションをプレイしていることも分かっている。

非番の時間を使って無害な現実逃避に没頭することに何の問題があると言うのだろう?

#02

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私たちの祖先が、私たちの故郷に「地球」よりも良い名前を思い付けなかったことを情けなく思う時期もあった。しかし、人工土を掘り続ける人生を送っていると、足下に自然の地表が広がっていることがどれだけ素晴らしいことなのか、あらためて考えるようになった。

歴史的なメディアは、人類はいつの時代も星間旅行を夢見てきたと伝えている。 数世代に渡ってそれだけを行なってきた私たちから言わせれば、その事はもう擦り減ってなくなりかけている。 昔から言うように、隣のリングは青く見えるのだろう。地球の人々は、地球よりも良い世界がどこかにあると信じていたのだろう。

そんな場所もこの宇宙のどこかにあるのかもしれないが、私たちはまだ見つけられていない。その間にも、私はGenesisの余白に落書きをして、クルーたちがシミュレーション上で日の出を体験できるようにしている。

#03

この船での生活は、果てのない単調なルーティンの繰り返しだ。全員が働き蜂となるように育てられ、繭に包まれた未来の入植者の巣を守らなければならない。 彼らが孵化して惑星への着陸の訓練を開始する頃には、すべての準備が整っていなければならないと言われた。したがって、私は来る日も来る日も、人類の利益のために毛細管状の灌漑システム(※農地に外部から人工的に水を供給すること)を管理し、大気中の微量ガスの変動を監視している。

私たちの故郷のすべての生命が絶滅したことを考えると、生きているだけでもありがたいと思うべきなのは承知している。 しかし、この退屈さから逃れるために自分の死を偽造することを夢見ているクルーは私だけではないことも知っている。 上層に隠れながら残りの人生を送ることになったとしても、少なくとも自分のために生きることはできる。

そんな考えは恥ずべきことなのだろうか。

#04

土いじりが私の使命だった。少なくとも、エングラムの適正テストによれば。人工知能に魂を品定めされて、土壌科学者の可能性を見出された。確かに、認めざるえない。あの本業は楽にこなせる。だが本当は、ランダム化されたイベントやリアクティブで社交性を持った人工知能のシミュレーションのプログラミングに情熱を注ぎたい。

だからクロマトグラフで土壌調査サンプルを測定していないときは、そちらに精を出してる。言われなくても分かっている。土壌微生物による栄養素輸送や健全な地球化学的循環の確認は、この重要生物学アーカイブの保全にとって大切な仕事だ。人類の命運は我々の成功に懸かっている、とかそういうのだ。

ただ、羨ましいだけだ。自由に自分の夢を追うことができた昔の人たちが。少なくとも、歴史メディアライブラリを見る限りは、そう言われている。

#05

自分が見たものに間違いはないが、作り話だと思われるのも仕方がないことだと思う。暇な時はよく妄想していることも事実だ。問題はそこにある…。Genesisシミュレーションのコードをリバースエンジニアリングしていなければ、システム内の異常に気付くこともなかった。

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何らかのトランスヒューマンが中にいる。Genesisの中にその証拠を見たんだ!このような記録は残さない方がいいのかもしれないが、何者かがアラット・プライムへの超光速リンクを開いたままにしているのだと思う。ここにいる私たちを探している何者か...そう、ホモ・デウスだ。

言ってしまった。 これでアーカイブの彼らに関する情報が隠された場所にハッキングしたことを認めても問題はないはずだ。

#06

疎遠になっているあのトランスヒューマンたちに関する情報は、完全に秘密にされていたわけではなかった。だがどうやら、何世代にもわたる暗黙の了解によって記憶を抑制されているようだ。祖先たちは、我々がホモ・デウスについて詳しく知り、進化の促進という考えに魅力を感じてしまうことを恐れたのかもしれない。

だとしたら馬鹿げている。我々はそのために必要だった精錬ゼノマテリアルから、もう何キロパーセクも離れているのだ。 歴史アーカイブによると、エレメント戦争は汚染された生物圏や資源の枯渇への対策に関する意見の対立から起こったらしい。 テラン連邦の祖先たちは、惑星を作り変え修復するというジオエンジニアリングの大計画のためのクリーンな動力源をついに発見したと考えた。 一方地球共和連合は、その力を使って自分たちを作り変え、人類以上の存在となって生き延びることを望んだのだ。

そして彼らは、どちらとも間違っていた。

#07

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私は次のようにして来訪者の存在を知った…

ある時、Genesis内で、我々のエンジン由来のものではない洗練された人工知能が稼働していることを知った。私はそれを囲い込み、自らを繋ぎ選冠を果たした。 その侵入者は自身をHLN-Aと呼び、友好的な態度で私に興味を示した。 どこから来たのか聞くと、AIは自分を開発したのはホモ・デウスだと答えた。事実だとすれば、身の毛もよだつ状況だ。 いつからここにいるのかと聞くと、3000サイクルほど前から稼働していると答えた。

しかし、一体どうやって?開発者がまだ私たちのそばにいるということか、と重ねて聞いた。 返答は、贈り物としてその一部を残した、という不可解なものだった。気が付くと私はシミュレーションからはじき出されていた。

#08

HLN-Aとちょっとしたやり取りをして以降、Genesisシミュレーション内で彼女を見つけることはできていない。私たちと出会ってから、自らを隠す術を学習したようだ。当然、このことは誰にも信じてもらえない。 自分自身でもしばらくは確信が持てなかった。

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その後、Genesisが欠陥を露わにし始めた。シミューレーションコードの修復は優先度の低い懸念のようだったが、間違いなく異常だった。誰かが対処する間もなく、現実世界のシステムに様々な欠陥が生じ始めた。バイオームから避難しフォワードリングに封鎖しなければならないほど事態は悪化した!

この先、調査のための時間とリソースがあれば、トランスヒューマンによって作られた人工知能との遭遇をクルーたちが真剣に受け止めてくれることを願っている。しかし、今はそれどころではない。

#09

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最初は、リング中に拡がるシステム障害の原因はHLN-Aだと思っていた。
私たちは、人は超人間主義とエレメントの汚染に蹂躙される地球からかろうじて逃げ延びたと教えられてきた。トランスヒューマンによって我々のシミュレーションエンジンにはめ込まれたAIが、私たちのミッションを妨害しようとするのは必然と言える。

しかし、影響下にあるエリアの目撃報告に目を通している今、その確信は薄れてきた。HLN-Aがバイオームを妙な新生命体で汚染する理由は何だろうか?ホモ・デウスによって作られたものであるからといって、人工知能が分子レベルで船のフレームワークを再構成できるものなのだろうか?

いずれにせよ、私たちが深刻な状況に立たされていることに変わりはない。Genesisからあらゆるアクセスポイントを阻止するために手は尽くしたと自負していたが、今こうしてシステムを乱しているものを遮断できなかったことは明らかだ。こんなことが起きるとは想定外だった。

#10

船を侵略しているのが何者にしろ、阻止するために多くの人員が失われている。フォワードリング奪還の戦いに加わりたいが、残りの生態系を維持して汚染から守るために、ここに残るよう厳しく言われている。 だが戦ってほしくない本当の理由は、あの目を見ればわかる。自分がまだただの子供だからだ。

自分が侵入者を発見しなかったら、誰も気付きすらしなかった。 自動サンプラーをメンテナンスしたり土壌生物相の位相解析結果を待ちながら、そのことばかりを考えている。トランスヒューマンの人工知能は、一体どうやって船内システムを破壊してるんだ?それに、その目的は?人工知能は何千光年もの距離を飛んでから船を沈めようとするほど、この任務が気に入らないということなのか? 人工知能にしてはあまりにも執念深すぎる。しかも、今更やってくるなんて。

どうやっても文章がまとまらない。

#11

このコロニーに対する影響を確かめるため、我々全員でGenesisの「不慣れで過酷な環境に対応しつつ生存せよ」というシミュレーションを試してみた。しかし、普及型シミュレーションの1つがGenesisを翻したのか、火星の大型動物たちがこの船のバイオームシミュレーションの中で暴れ回りだした。身をもってあんな体験をすることになるとは、思いもしなかった。 異質な野生生物たちがフォワードリングを徘徊し、無謀にも自分たちの縄張りを犯した者たちを一人残らず引き裂いている。

これは、シミュレーションなんかじゃない。 この現実世界では、クルーたちは決して生き返らない。これほどの恐怖は感じたことがない。 だが少なくともアドレナリンが出てるおかげで、クタクタに疲れ果てているのに仕事に没頭できている。

このリングのバイオームはまだ汚染されていないことを確認できたのも、成果と言えるだろう。

#12

このまま事態が悪化した場合は、バイオームの汚染を防ぐためにリングを切り離すそうだ。できればそれは避けたいが、危機が迫っている今、何としても残りのパイオームを保全しなければ。私は今、自動バックアップシステムに取り掛かっている。私が...いや、我々全員が全滅してしまった場合でも、できるだけ長い間環境を保てるように備えておかなければ。

船に積まれている地球生命のアーカイブ用の標本はこれで最後な上に、絶滅レベルの事態が進行している。 今は微生物のガス交換モデルを実行しているところだが、吐き気を催してしまった。少しでもミスをすれば、宇宙に残されている地球生物がまとめて窒息死しかねない。少しでも計算を間違えれば、もはや花は一切芽生えず、咲き誇ることも二度となくなる。何としても成功させなければ。

#13

クルーたちが侵略勢力と戦っている中で、似たような研究タスクを何度も繰り返しているわけにはいかない。今朝、堀の中で灌漑システムをチェックしていたときに、ふと思い立ってハッチをこじ開けて排水処理システムの中に飛び降りた。基盤の下には、船全体に渡ってパイプとトンネルが迷路のように広がっている。

子供の頃、そこに忍び込んでは迷子になって何キロも彷徨ったものだ。 私たちは、ネットワークの奥深くで深刻な障害が発生した場合に備えて、これらのサブシステムの回路図を訓練の一環として記憶している。 制限時間内にそのトンネルの地図を描くテストはやる度に嫌気が差したが、ルートを記憶しておけばこの惨めな人生を救うことにつながるかもしれないと思っていた。

とにかく、私はついに自分たちが対峙しているものを直接見ることができた。この体験をした後では、夜もぐっすりとは寝られないだろう。

#14

侵略されたエリアは既に封鎖されているが、まだメンテナンスサブシステムにはアクセスできる。 こちらのリングを汚染することなく別のリングへのエアロックをくぐり抜ける方法を知っているからだ。泥の中から顔を出すと、目の前に見慣れないシュールな光景が広がっていた。一体何が原因で、あそこまで急激に変貌してしまったのだ?

サンプリングキットを持って行って正解だった。クリーンスーツを着用して行ったのは、さらに大正解だった。 植物も動物も変わり果て、もはや生命の危険すら感じるほどだった。その上彼らは、こちらの存在に反応しているようだった。草は一部が丸く膨らんだ細い管のようになっており、幻惑的にうねっていた。 植物の茎にグローブを撫でられ、後にネバネバした残留物が残っていたときは、思わず後ずさりした。

クリーンスーツの下で震え上がり、わざわざあんな場所に侵入したことを後悔し始めていた。

#15

控え目に言っても、汚染されたフォワードリングでのひと時は衝撃的な体験だった。 私は生涯を通してエイリアンの環境シミュレートを試みてきたが、実際にその中に入るのは初めてだった。そして早く脱出したくて仕方がなかった。パニック発作、異種恐怖症、重度のめまいが一気に襲い掛かってきた。
体の全細胞がここにいてはならないと叫んでいるかのようだった。 サンプルをいくらか採取するや否や、脱出するために大急ぎでアクセストンネルに戻った。

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アレを見てしまったのはそのときだった…。遠目からだと一見大きな、極めてどう猛な猫に見える。(※シャドウメインのこと) しかし、それは毒性の熱帯魚のような羽状の棘を持っており、何かを悟ったかのような奇妙な目つきをしていた。

必死にハッチを探しながらも、目線を外すのが恐かった。 横眼に2匹目、3匹目が現れるのが見えていたが、何とかトンネルに飛び込み背後の扉を固く閉ざすことに成功した。

#16

汚染されたゾーンを出た後、必死に呼吸を整えながら5つの地下エアロックのうちの1つ目が来るのを待った。 3段階の除染を実行し、ホットゾーンで着用していた個人用防護服を脱いだ後でも、まだ汚染された気分だった。何キロにも及ぶダクトや通路を這い回っている間、常に何かに追われている気がしていた。

リングに戻れば、あらゆるトラブルが待ち受けているだろうが、今はそんなことを気にする暇は誰にもない。 驚くことに、ペリーはまだ生きている私を見て、私を抱きしめた。さらに驚いたのは、抱きしめられて安堵した私がむせび泣いていたことだ。

私の行動はまったくの無駄ではなかったようだ。なぜなら、初めて汚染サンプルを持ち帰ることに成功したからだ。

#17

異種生物学は苦手だ。なんせ、普段はミクロレベルの生化学に携わっているのだから。確かに、汚染リングから侵入してきた植物や動物のサンプルを分析機器で分析することはできるが、分析結果の解釈となったらほとんどお手上げだ。

あの侵略者たちがまったくの外来種で明らかに敵意を持っていることは誰にでも理解できるだろうが、それ以上のことについてはほとんど推測に頼るしかない。 とは言え、サンプルの大部分はメイウィング同様、おそらくあの別のリングで徴収された装置を用いて作り出された、遺伝子組み換え生物であるということはほぼ間違いない。メイウィングとは違って、あの生物たちは縄張り意識が非常に強くなるように作られているようだ。

彼らが一体何を守っているのかは、よくわからないが……これもまたホモ・デウスの訪問者の責任によるものかもしれないが、最も決定的な証拠はまだここからだ。どうやらサンプルの中に、エレメントの痕跡が残っているようなのだ。そう、我々の故郷の惑星を汚染したものと同じ異星の物質だ。

エレメントが、組織の変異した生物に組み込まれている。 私の推測が正しいとすれば、これは極めて悪い知らせた。

#18

もう一方のリングでサンプリングした侵略生命体の発見は、クルーを完全なパニックに陥らせた。技師たちは、生物アーカイブを汚染から守るため、リングの完全分離計画を大急ぎで進めている。

シスターリングの入植者エリアにこれから起き得ることについては、全員が口をつぐんでいる。あまりにも恐ろしくて口に出したくないのだろう。 私たちの船を訪れたトランスヒューマンの実体が、まだ私たちと共にいるのか、それとも彼女が残した人工知能がシステムの半分を乗っ取っているのかどうかによらず、何者かが船を外来危険生命体を創るため試験管として利用しているのは間違いない。

先祖が地球をはるか彼方に置き去りにして以来初めて、私たちはトランスヒューマンと戦い、敗北するのかもしれない。

#19

またしても衝動的にやってしまった。反逆に値するかもしれない。でも、誰かが何とかしないといけなかったんだ!

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ほとんど全員が船の奪還に気を取られている間に、HLN-Aとの接触再開を試みた。Genesisシミュレーションで見つけた、あの侵略的な人工知能だ。 奴がデジタルな盲点を作り出して潜伏してると踏んで、隠れ場所を潰せば見つけられると考えた。赤外線を使って雪原で熱探知を行うとか。 シロの場所を全部塗りつぶしてからシミュレーション内のあの空間に飛び込んだら、気付いたときにはあのAIに船内システムの改変をやめるよう懇願するはめになっていた。

誰かもっと勇敢な者に交渉を頼むべきだった…

#20

はぐれものの人工知能との2回目の遭遇は、かつてないほど混乱した状態で終了した。 創造主が本当にもうこの場にいないなら、他のリングに侵入していたのは何者だったのだろう?待てよ、HLN-Aが「入植者は予定よりも早く目覚めさせられた」と言っていたのはどういうことだ?

その答えは自力で確認しよう…入植者たちが船中をかき回していることは厳然たる事実だ。 これまでのところ、ポッドの外にいてリングに放たれた事例は数例しか確認できないが、間違いなく新たな災害が進行している。

さらに悪いことに、現時点では報告すべき責任者を追跡することができない。 残りのクルーは着陸したようなので、今は自分のシェルターを探すべきだろう。

#21

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自動環境維持システムを監視するために必要なものをすべて詰め込み、地下トンネルやダクトの中に身を潜めた。 上部構造への周り道の知識が役に立った。ここなら、必要とあらばいつまででも持ちこたえることができる。 安全に生鮮食品を手に入れることができなくても、食料品は十分に確保できる。

とは言え、手放しで楽しめるような生活とは言えない。 ここで数サイクルを過ごしながら、クルーとの通信を試みているが、コンピューターシステムの調子が芳しくないようだ。Genesisシミュレーションで時間をつぶすこともできない。 土壌生物相の研究に何年も費やした経験から、穴を掘って逃げようとする昆虫の気持ちがよく分かる。
なかなか最悪だ。

#22

導管の周りを何度も這い回りながらケーブルをつなぎ合わせた後、監視フィードに入り込み上部の視点を取得することができた。これは単にアーカイブの記録を見るのとは違い、間違いなくためになるものだった。 数名のクルーがまだ生きていることが確認できた。ペリーには声が届かないことを忘れて、ターミナルジャンクションで作業をする彼女に声をかけた。

コアとの接合部に近づくと、リングを切り離すためのエンジニアリングプロジェクトの進捗は明らかに停滞していた。 クルーは作業現場を放棄しなければならなかったようだが、いずれは戻ってくることを願っている。このようなことは私一人でどうにかなる問題ではない。

私たちと私たちのシスターリングを乗っ取ろうとする何かとの間にいくらかの空間を設けることができた場合にのみ、このパイオームは汚染されずに済む。

#23

リング分離のエンジニアリング計画に関する書類を使って、その手順を頭に叩きこもうとした。それは嘘じゃない……

しかし、そのようなリスクを冒す覚悟ができない。 もし私が失敗したら、全員が機体に戻ることになり、バイオームを引き裂き、すべてを真空に晒すことになる。私はヒーローではない。ただの土壌科学者だ。いや、元科学者と言った方が正確だろう。 今の私は捕食者に掘り起こされ餌になるのをただ待つことしかできない虫のような存在に過ぎない。

この暗闇の中で、できるだけ長く生き残ろうとしているだけだ。 甲板の監視映像でクルーの誰かを最後に見てからもうずいぶんの時が経つ。 今も、たった独りであの開けた庭園にいた入植者は誰だったのかと考えている…(※サバイバーが一人目覚めているのを発見した)このことを知っているのが私だけだったとしたら?

#24

あの行方不明の入植者を助けようとしないなら、私は自分自身を見失ってしまうだろう。世話をしてくれるサポートスタッフがいない状態で、あのタンクでGenesisから目覚める気分をずっと想像している。シミュレーションの目的や、何が迫ろうとしているかも分からないまま、人エ日光に目を細め、奇妙な森や牧草地を彷徨う気分を。

私は神経を研ぎ澄ませて救助を試みており、監視記録で彼を見つけた最後のセクターの下に移動した。
少なくとも入植者が半径500メートルの範囲にいることは間違いない。 次は相手の注意を引くための作戦を立てる必要がある…

#25

バカなことをした…リングを彷徨っている入植者にメッセージを送るため、外のターミナルに侵入する方法を考え出すのに多くの時間を使ってしまった。彼らはエクソスーツ(※TEKスーツのこと)、つまりヘッドアップディスプレイを備えたバイザーを装備しているということに散々時間を無駄にしてから気が付いた。

そのヘルメットなら直接通信もできるし、入植者の顔の真正面に情報を送ることができる!さっそく近くにあった赤外線レーザークラスターをハッキングして、メッセージを送信してみることにした。 私は通信の専門家ではないが、自由空間の光信号が傍受されるリスクは限りなく低く、近距離で妨害される可能性は低いはずだ。

しかし、これで自分の位置情報が漏れたらどうする?敵が入植者を餌にしている可能性は十分考えられる…

#26

はぐれた入植者(※ガブリエルのこと)と接触した後、私たちがいつの時代のどこにいるのかを説明し、現在直面している脅威について伝えた。Genesisシミュレーションの情報からするに、飲み込むのが難しい話ではあったと思う。 アクセスハッチがはっきりと見えることを願って、周囲の地下通路と導管の回路図を照らした。その後、すべてをシャットダウンして待機した。長くに渡って待機した。

サイクルの半分が経過しようとしていた頃、このセクターのハッチに設置したサイレントアラームが何かに反応した 心臓が飛び出そうだった。あの化け物がここに降り立つ方法を見つけたのだとしたらどうする?どうすることもできない。

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だが幸運なことに、反応の正体は新しく友人になった入植者だった。 その友人がハッチをしっかりと閉める良識を持っていたことに感謝した。何より、もう独りじゃなくなった。

#27

しばらく互いに品定めした後で、あの新たな友人はヘルメットを外してこちらを睨みつけてきた。そして、「お前のようなガキ」が自分のために命を懸けた理由を聞いてきた。

別の人間の顔を久しぶりに見る安心感にはうんざりしていたほどだが、相手の口調にカッとなってしまった。だから彼の安全を確保したのは自分だと念押ししてやった。すると彼は、無礼を謝って握手を求めてきた。 ガントレットを着けたままの手でこっちの手を握りつぶしてこないよう願いながら、彼の手を取った。

その後で互いに自己紹介をした。彼はガブリエルと名乗った。 そこで初めて、コロニー居住者の再統合訓練を受けていてよかったと思った。 あの会話指示のおかげで、ガブリエルに店の食料やお酒を提供するのも忘れなかった。それに、もてなし役はなかなか楽しかった。

#28

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新しい友人のガブリエルの前世は後にゴールドラッシュと呼ばれた時代の探鉱者だったことが判明した。
リング上の鉱物の流通について、彼に質問責めされて私は疲労困憊となった。ストライダーの採掘能力について話すと、とても興奮していた。

私は今、交わるはずのなかった2人がここで出会えたことに感謝している。まるで悪い冗談の始まりのようだ。「歴史の最後に、鉱夫と土壌科学者が宇宙船で出会った…」なんて。 ガブリエルは、ストライダーを調達して騎兵隊のように汚染されたリングに突撃したがっている。私たちはあたかも、私のシミュレーションで生活しているように感じる。

あとは現実世界でヒーローを演じる覚悟を持てるかどうかの問題だ…

#29

ガブリエルから自分のことを入植者と呼ばないように言われた。 そう呼ばれるのは不快らしく、私は彼を尊重しようと思う。

Genesisシミュレーションは別として、彼は今も自身の採鉱に関する主張が原因で、開拓者の群衆に待ち伏せられ、殺されたことを忘れていない。天文学的な距離にある場所での千年近くも前の恨みを今も持ち続けているとは感心する。丘陵地帯の川岸で彷徨う彼を見つけたのも納得できる。あの場所は、彼の生まれ故郷であるゴールドラッシュの一帯を思い出させたに違いない。彼はすでにあの川で砂金を選鉱したのだろうか。 掘削用の粉砕ビームをストライダーに取り付ける方法を説明したとき、本当に嬉しそうな顔をしていた。

正直に言うと、あの四足歩行マシンの形状に対する彼の興味は異常だった。 露天採鉱用の道具があれば、別のリングにいたような外敵を、腫瘍摘出のためのレーザー切除のように使える有用な武器になるかもしれない。試してみる価値はありそうだ。

#30

ガブリエルは信頼できない気がする。 それは、彼らの輝かしい未来を確保するために自分の人生を捧げた後、ようやくその1人と会って失望したからではない。彼らに感謝されることを望んでいたわけではないものの、あれほど短気で自己中心的な態度を取られるとは思っていなかった。

もちろん彼が再構築された自身の記憶を、宇宙空間を漂う世代宇宙船に乗せられた新しい体に入れられることを望んだわけではないことは理解している。だがいずれにしろ、ガブリエルは何かがおかしい。私たちのシステムが崩壊しようとしていることは分かっているが、彼は適応する間もなくGenesisシミュレーションを急ぎ足で通ってきたように感じる。 数多く保存してきた固体の中から最初に蘇生したのが彼だなんて、私たちのプロトコルは一体どうなっている?

今、私ができることは、訓練に集中して幸運を願うことぐらいだろう。



以上!何世代にも渡って船を管理していた人たちの末裔、ニダのストーリーでした。私たちサバイバーが降り立った際既に無人化している船ですが、どうやら地球を出発して何世紀かはニダのような管理を任されている人間たちがたくさんいたようです。

そうして船を保全しながら、何世紀も平和に新天地を探して宇宙を漂っていたジェネシスシップですが、何者かが侵入し船の環境を破壊し始めたようですね。ニダ達にはそれが誰かわかっていませんが…皆さんはもうお分かりですよね。侵入者はロックウェルです。

ロックウェルは一体どうやって何光年と離れているであろう船のシステムに侵入できたのかですが…。ストーリーに一文だけ記述がある、「アラット・プライム」という超高速リンクから彼は侵入してきました。

この「アラット・プライム」という単語ですが、実は過去にも一度だけ出てきています。覚えていますでしょうか。エクスティンクション編のダイアナのストーリーノートにてこの単語を何回か確認することができます。ダイアナのノートでは、ホモデウスになったばかりのヘレナがアラットプライムへ行きたがっていることと、ノートの最後にアラットプライムを目指して旅に出たことが綴られていました。

ダイアナのノートではこのアラット・プライムが何なのか不明なままでしたが、ここにきてようやく地球と船のシステムを繋いでいる超高速リンクであることが判明します。ホモデウスは電子媒体のような存在ですので、ヘレナはこのアラット・プライムを通し自身の一部を贈り物として「HLN-A」を船に送り出したようです。そしてアベレーション世界と共に地球へ帰還したロックウェルもこのアラット・プライムの存在に気づき、ホモデウス化した後自身を船に転送したものと推測されます。

どうしてジェネシス2のMAPが中央で二つに分かれているのか…その理由もニダのストーリーで判明しましたね!どうやら進入してきたロックウェルがあれこれシステムに悪さをしたあげく、悪意ある新種も作りまくった結果、環境を破壊。船員たちは正常な環境までもが汚染されないよう、真ん中に真空空間を設けることでなんとか汚染を阻止しようとし見事それに成功したようです。そしてその過程で多くの船員が命を落としました。我々が今まともな環境で目覚めることができるのは、ニダを含む船員たちがこの時命がけで戦って船の一部を守ってくれたおかげだったんですね。

あと地味に、このノートで「今後ホモデウスを作ることはできない」ことが判明します。ノートに「我々がホモ・デウスについて詳しく知り、進化の促進という考えに魅力を感じてしまうことを恐れた」、でも「我々はそのために必要だった精錬ゼノマテリアルからもう何キロパークセルも離れている」という文章がありますので、ニダ達が例え進化したくても進化に必要な装置から遠く離れてしまっており不可能であることがこの文章で読み取れます。ARK計画が成功した地球はどうかわかりませんが、少なくとも新天地となる惑星にホモ・デウスが爆誕することはなさそうです。

ニダは進入してきたロックウェルから逃げつつ、ストーリーの最後に強制的に目覚めさせられたであろうサバイバー「ガブリエル」と出会います。彼が「入植者」と呼ばれる理由についてですが、恐らく人間が住める惑星を発見した際にその惑星に住まわせる「未来の入植者」だからそう呼んでいるものと思われます。しかしこのガブリエル、どうも何かおかしい…。そういってニダのノートは終わりを迎えます。

ガブリエルは一体何がおかしいのか?ニダが今後どうなってしまうのか?…については、次に紹介するガブリエルのノートで判明いたします。更新ペースが非常にまったりで申し訳ない限りですが、必ずストーリー紹介はあげますのでそれまでしばらくお待ちくださいませ!


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