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エクスティンクション編の記念すべき第一号のストーリー紹介はサンティアゴになります。アベレーション編で他キャラのノートにその存在は出てきておりましたが、本人が調査書を残すのは今回が初めてとなります。

調査書の数は合計30枚。その他にMEK TM、エンフォーサーFM、スカウトFM、メガMEK TMの4つの機械調査書も残しています。(ヘレナでいう生物調査書ですね)

読みやすいよう、あくまで私なりにまとめたストーリー内容となりますのでその点よろしくお願いします。原本が気になる方は是非エクスプローラーノートを集めて見てみてくださいませ。

それではいってみましょう!

エクスティンクション編 サンティアゴのストーリー

(※ )部分はストーリーが分かりやすいよう入れている注釈です。
ストーリーに関する重要部分やゲームのメタ的な部分については太字にしています。

#01

とにかく5秒でいいから全員黙ってくれないだろうか。最悪な状況だということは重々承知している、他の者もそうだろう。だからとにかく呼吸を整えてくれないか?頼む。

ゲートウェイを通って地表にテレポートした時、最悪の状況は脱したと思っていた。だがいざ来てみると、この惑星自体が焼き尽くされていたことがわかった。まさに世界滅亡後に訪れた悪夢だ。出発点に戻ったと感じている者もいるようだ。

だが正確に言うと、それは正しくない。我々にはTEK装備、物資、テイム済みの動物、それにかなりの量の人的物産がある。自由に使える道具が山ほどあるというわけだ。あと私に必要なのはある程度のスペースと考える時間だけだ。これは新しい暗号なのだ、解読する必要がある。

#02

店を開くのにピッタリな場所を見つけたようだ。前方にあるクレーターであれば、我々の望む全ての条件を満たしているはずだ。

メイ・インがペットを連れて偵察を行った。つまり少なくともパニックになっていない人間が私以外にもいたということだ。とはいえ、ステーションの自爆ミッションで「自爆」を買って出た彼女ならあり得る話だ。ディー(※ダイアナのこと)には人を見る目があったということだ。

移動中にいくつか道具を組み立てた。そこまで複雑なものではない、基本的な装備で、これがあれば新たな環境の調査をしやすくなる。重力、土壌、合成物、大気などだ。どんな結果が出るかは予想がついているが、確認は必要だ。

#03

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私の予想を超えるような数値も出たが、ここは間違いなく地球だ。年齢も同じで、自己完結的な泥の玉だ。

思っていたとおりだ。あのヘレナとかいう生物学者によると、私と同時代から来た人々は、あのステーションでは最も進化した人類のようだ。つまり彼らがそれほど遠くない未来に生まれる可能性がある。それに私の最後の記憶では、連邦とUREはまだ地球に存在していた。別に技術が足りなかったわけではない。原因は例の悪人ども、つまり政治家たちのせいだ。

彼らは1つの惑星を共有することすらできなかった。空間などもってのほかだ。人類は悪魔のシナリオとしてAIの神々を登場させるのが好きなようだが、機械に支配されるのであれば、私はこの荒廃した地球の大地ではなく、豊かな火星の景色を見てみたい。そう考えるとそこまで悪くない気もする。とにかく、支配された人類の運命がどうなるかは私にも分からない…

#04

キャンプ・オメガ(※拠点の名前のこと)の建設は順調に進んでいる。力を注ぎたいプロジェクトがあってもそれだけをやってるわけにはいかない。できることなら、居住区や馬屋や基本的な防衛システムよりもっと困難なことに挑戦したいが、今はこれで手一杯だ。

最近この工場はほとんど私がしきってるような状況だ。私以外に適任者がいないから仕方がない。私は自分の仕事をこなす。ただくだらない喧嘩やノイローゼに毎回邪魔されるのだけは我慢ならない。私には問題を解決するという重要な仕事があるのだ。

だから私は連邦を説得して、契約の一部としてあの山荘を与えてもらったのだ。私の小さな隠れ家。そこに存在するのは彼らが必要とするパズルと私だけだ。まさに完璧だった。サウンドシステムも素晴らしかった。私の記憶が間違っていなければだが。

#05

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今の地球の状況についてヘレナと話し合ってみた。賢い女性だ。ここで会った誰よりも賢いかもしれない。だが私が彼女をぞんざいに扱ったり、不愉快な態度をとったりしても、彼女はそのことに気づかないようだ。

彼女のせいではない。連邦の職員たちが必要な時にしか私を訪れなかったのはそれなりの理由があるのだ。彼らの地位がどれだけ高かろうが、私は臆することなく自分の意志を伝えた。彼らが私の意見を無視できないと知っていたからだ。彼らには私が必要だったのだ。

つまり、私と関わると面倒なことになる可能性があるということだ。ただしディーのような人間は例外だ。彼女は確かに技術者や科学者ではなかった。だがくだらない話に関しては右に出る者はいなかった。あの赤毛の変わり者に会いたい。

#06

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キャンプ・オメガは今の所順調に稼働している。インフラ昨日も完備している、十分な燃料も確保できた。それもかなりの量だ。

この惑星の地表はエレメントに溢れている。荒廃地の端まで何度か行っただけで、貯蔵庫がほぼ満杯になった。これだけの量を使って何をするつもりなのだろうか。

これほど多くのエレメントが存在している理由は分からない。我々の時代ではここまで簡単に手に入るものではなかった。もちろん、ステーションを構成するエレメントは全て他の場所から持ってきたものだ。理論上はこの都市が未発見の鉱脈の真上に建てられた可能性もある。これだけの量があればどんなに小さな村でも、一夜のうちに大都市に成長するだろう。もしそれが事実だとしたら、その坑道はどこにある?もう少し調査が必要かもしれない。

#07

試算を行ってみた。我々は今、科学の常識を超越する世界に住んでいる。自然界に存在するエレメントの膨張速度ではこれほどの密度レベルにはならない。幾千年間その成長を邪魔されなかったとしてもだ。つまり何かが異常な速度まで成長を加速させたということだ。この地域のデータが異常値であったとしても、私は「何か」と言っているが、ここに明確な答えがある。その答えは人間だ。

エレメントを燃料とする機器からは微粒子が放出され、それが大気へと戻り、やがて土に定着する。行ってみれば受粉のようなものだ。だがスケールは遥かに小さく、我々はそれを無視できるぐらいの速度でエレメントを消費している。微粒子を大量に撒き散らすには、エレメントを急激な速度で消費する必要がある。

エレメントを急激に消費するには、エレメントを用いた兵器で一世紀の間戦い続ければいい。ではその中で最も強力なのは?それは恐らく私の武器だろう。

#08

もちろん、それが武器ではなかった可能性もある。どのみち、エレメントは日を追うごとに一般家庭の間にも広まっていた。確かに私は、ひそかにスパイとして企業に入り込んだことが何度かある。可能かどうか試してみたかったんだ。奴らが侵入に無警戒になり始めたら…

いや、私は今ここにある事実と向き合う必要がある。別に私が規範的な人物だからというわけではない。私は自分が死を届ける技術を改廃していたことを知っている。だがここまでやる必要はなかった。

とはいえ、私がオリジナルのサンティアゴのクローンだとしても私に責任があるのか?私は「私は」や「私に」と言い続けているが、彼の記憶を持っているのは私の責任ではない。それを受け入れたら私に何が残るだろうか?私は世界の終末の騎手かもしれないし、何者でもないかもしれない。この件は後で考えよう。やるべき仕事がある。

#09

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また状況が変化した。あの洞窟の中で数体の巨大な怪物を見かけた(※タイタンのこと)。だが数時間前に出会った彼らは全員ドワーフだった。まだ先は長い。苦戦し続けている機械式ドローンの数も増えた(※スカウトのこと)。それに自分たちの戦力が急に頼りなく感じるようになってきた。

あの巨大生物はエレメントがもたらした突然変異のたまものなのだろうか。見方によっては、色々な面で面倒なことになりそうだ。まあそれならそれで構わない。彼らが障害になるなら、いつもどおり解決方法を見つけるだけだ。だからといって自分のアイデンティティを捨てるつもりはない。そうなれば受け入れるだけだ。

いいぞ、いい案が浮んだ。なぜだか分からないが、最悪の状況になるといつも素晴らしいアイデアが思いつく。

#10

巨大な二足歩行の戦闘兵器。それこそが私の最終目標だと話すと、別に何かを期待していたわけではないが、誰もがぽかんとするか心配そうな顔で笑いだした。笑った奴らは私の協力を期待していたのかもしれない。だがそうはならなかった。

なるほど、そういうことか。ようやく分かったぞ。やはり思っていたとおりだ。自分のことをサンティアゴだと認めるなら、私はそれを受け入れるということだ。もし私のオリジナルが最先端の武器を使って世界に終末をもたらしたのであれば、私はさらに進んだ武器を使ってそれを元に戻す。

炎で炎と戦うようなものだと言う者もいつかもしれないが、私に言わせれば巨大な銃で小さな銃と戦うようなものだ。

#11

結局、妙案が浮んだ者は他にいなかった。すでに歯車は動き始めている。格納庫では複数のチームが作業にあたっており、彼らが資源を回収している間、私は詳細を詰めることにした。

MEK(※巨大な二足歩行の戦闘兵器につけた名前)の作成は、私の人生の中でも最も困難な仕事の1つになりそうだ。むしろこれが一番かもしれない。ゲートウェイ・プロジェクトのおかげで最初からオベリスクを使用できる。だがこれも全部自分のおかげだ。幸運なことに、私は記憶を映像として残すことができるため、ロボット工学に関してこれまで学んだことを全て思い出すことができる。つまりゼロから始めなくてもいいということだ。

しかも、これは私が一番好きな分野だ。大きなプロジェクトに関わっているといずれ燃え尽きてしまうと考える者もいつが、私にしてみればラザロのぬるま湯に浸かっているようなものだ。そのために人生を捧げられる。

#12

MEKのデザインがようやく仕上がった。有能なパイロットたちの能力と経験をベースにして、エネルギーソードを主要武器として強化し、高精度TEKキャノンに回していたパワーを少し減らした。

ただしこれは基本モデルだ。どのMEKにも拡張スロットがあり、パイロットの特徴やミッションの種類に応じて部品を変更することができる。リアクティブシールドドームを使えばチームを守りつつ、強制的に近接戦闘に持ち込むことができる。ミサイルキャノンは後方支援武器として使用できる。肩に装備するミサイルランチャーは、「今すぐ地獄に送ってやる」と言いたくなった時にぴったりだ。

これだけでも頑張ったかいがあったというもだ。だが一番重要なのはここではない…

#13

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私は資源を最大限に活用できるようにこのMEKをデザインした。1つだけでも圧倒的な威力を誇る戦闘兵器だが、組み合わせることで足し算以上の能力を発揮するようになる。つまり、我々には4つの武器を活かせるだけの資源がある。だがこの4つを接近させて結合させることで、より強力なMEKにすることができる、ということだ。その名もメガMEKだ。

都市を徘徊していたハンター/キラー・ロボット(※恐らくエンフォーサーのこと)が持っていたテレポート機械をいじくっていた時にこのアイデアが浮かんだ。パズルのように物理的にMEKをリンクさせるのではなく、テレポートを経由して原子同士を組み合わせている。私の最高傑作であり、究極の戦闘兵器だ。最高効率のエレメントリアクターと最強のエネルギーソードを完備している。どれだけ相手が大きくても、この怪物には絶対に勝てない。

これを扱う事のできるパイロットがいればだが。

#14

我々のこれまでの操縦経験はほぼゼロに等しい、だからできるだけ使いやすいコントロールを吊るくことを目標にした。

私が出した結論は、神経リンクとジャイロを組み合わせることだった。全身用のモーションセンサーで、私はベータレベルパイロットと呼んでいる。基本的に一度リンクすれば、MEKはそのパイロットの動きを模倣し、細かい点は自動システムが調節を行ってくれる。

だがそれだけでは終わらなかった。アルファレベルパイロット用に強固で軽量な複数のコンソールを追加し、神経系により強固にリンクするようにしたのだ。これで各MEKがより簡単にコントロールできるようになるはずだ。だがこれを扱うにはディーのようなイカれたパイロットが必要になるだろう。私でもその潜在能力を完全に活用できるような機械は作れない。ただ、ここにはその力を引き出せるようなものがいるとも思えない。

#15

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MEKパイロット評価:候補者#004-メイ・イン・リー

確かに、パイロットの動きを模倣する簡易型コントロールを使うと決めた時、私はメイ・イン・リーのことを想定していた。これは同情心や慣れあいなどではない。客観的に見て、近接戦闘では彼女が一番の実力者だ。それに面談した結果、戦闘経験が豊富な者は1人もいなかった。

彼女は戦術的な問題にも道徳的なジレンマにも素早く明確に回答した。後者については若干恐ろしい部分もあるが、我々にはそういうパイロットが必要なのだ。皆に危険が迫っている時にためらうような人物は必要ない。

問題は彼女の精神状態だ。彼女が今、どれほどの苦しみを感じているかは私にも分からない。だが戦いが始まれば、一周してすぐに興奮状態に戻るかもしれない。少し熱すぎるところはあるが、それでも彼女が最有力候補であることは間違いない。

#16

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MEKパイロット評価:候補者#013-ヘレナ・ウォーカー

この候補者には実に驚かされた。これまでの経験から、ヘレナが危険な状況でも冷静さを保ち、即興ですぐ行動できることは分かっていたが、面談でも見事にそれを証明してみせた。創造力があり、冷静沈着…そこまで攻撃的ではないが、メイ・インは4人必要ない。

彼女は実直だったが注目に値するほどではなかった。少なくとも彼女をプロトタイプに乗せて、そのシンクロ率を見るまではそういう印象だった。彼女は全ての値で限界値を記録したのだ!彼女の神経系が他の者よりも優れているのだろうか。これより高い数値を記録できる可能性もある。

彼女であれば、さらに進んだ技術との神経リンクを確立できるかもしれない。この件はまた後で検討するとして、どうやら、2番目のパイロットを見つけたようだ。

#17

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MEKパイロット評価:候補者#022-タカヤ・カズマ

私が誰にも邪魔されずにテラン連邦に協力できたのは、UREがカズマのような間抜けな連中ばかりだったからだ。とにかく、うるさくて、不愉快で、独善的というべきか。世間知らずな連中だ。彼は面談で厳しい選択を迫られた。我々が犠牲を「やむなし」と考えていると知らなかったからだ。お利口な考え方だが、我々はここで生きて行かなければならないのだ。

私は自分の言ったことは守る。彼の記憶はアカデミーを出た直後に失われるかもしれない。だが彼は本物の軍事訓練を受けた貴重な人材だ。シンクロスコアもなかなかのものだ。おしゃべりなURE狂信者であろうがなかろうが、彼は残された選択肢の中では最も有力な候補といえる。私の個人的な偏見は関係ない。

#18

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MEKパイロット評価:最終候補者-サンティアゴ

私がテスト目的以外で自分の作った物を使ってみたいと思うことはほとんどない。自分のアイデアが実現してしまうと、それが私のシステムから外れてしまったような感覚になり、そのアイデア自体に魅力を感じなくなってしまうというのがその理由の1つだ。そうすることでアイデアの純粋さが失われてしまうという気持ちもある。偉大な画家が自分の作品を壁に飾るだろうか?

残念なことに、今回は私に選択肢は与えられていない。私は誰よりもMEKに詳しい。そして私よりシンクロ率が高いのはヘレナだけだ。恐らく私がシンクロシステムを自分でテストしたことが原因だろう。間抜けなミスだ。どうやら仕事量が2倍になりそうだ。

#19

構築がフェイズ3に到達した今、優秀な候補者たちとの面会時間をもっと増やさなければならない。MEKは今のところ誰でも使うことができる。だが特定のパイロットの特性と動きに合わせて調節すれば、その戦闘効率を最適化することができる。それに、彼らにはそのコントロール方法に慣れてもらう必要がある。

この作業に関してはあまり気が乗らない。私はコンピューターと格闘している人物を30秒見ただけで、そこを代われと言い出してしまうタイプの人物なのだ。しかもこれは私の最高傑作だ、インターネットブラウザではない。苦労することになりそうだ…

#20

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メイ・インはコックピットに慣れるのに苦労している。無理もない、古代中国にはこれを表現するための言葉すらないのだ。それでも彼女がくじけないのは、その持ち前の忍耐力のおかげだ。彼女ならいずれコツを掴めるだろう。

我々のセッションは非常に静かだ。これだけ時間があればさぞ親密な関係になっていると思うかもしれないが、我々の間には常にディーがいた。つまりメイ・インとはビジネス関係ということだ。彼女が苦しんでいようが、私がイライラしようが関係ない。

彼女と初めて雑談をしたのは彼女から練習に誘われた時だった。私もこれで晴れてパイロットだ。後に私の足が抗議を行ってきたが、次のセッションはかなり上手く行った。フレンドリーすぎず、雑談も多くなく、円滑に進んだ。まるで、奇妙にも、言葉を交わすことなく、非社交的にお互いを理解できたかのようだった。私はそこまで自信がないが、まあいいだろう。

#21

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ヘレナのセッションはフラストレーションのたまる内容となった。彼女のシンクロ率が1桁台に落ちることは一度もなく、誤りを指摘すればしっかりと理解してくれる。だがなぜか、いざ実行する段になると彼女は壁にぶち当たる。

彼女もみんなと同じように努力している。しかも適当にあしらうのがためらわれるほど、人を助けたいという思いが強い。そのせいか、彼女がかなり遅れを取っていることをどうにも言い出しづらい。彼女は棒の先についたニンジンのような、もっとわかりやすいことに集中する必要があるかもしれない。

彼女は前から、ステーションの裏に隠された真実を突き止めたいと言っていた。先日、私のスキャナーが異常なシグナルを検知した。私は人生の相談役にはなれないが、これは仕えるかもしれない。

#22

あのニンジンはかなり効果があった。荒地で受診したシグナルのことを話した途端、まるでヘレナの脳内にある第2のリアクターが起動したかのようだった。このシグナルが本物かどうか分からないし、答えが見つかる可能性も未知数だ。だが彼女はそれに飛びついた。

私は彼女の熱意に圧倒され、思わず必要以上のこともしゃべってしまった。クローンの件や過去に対する我々の責任の有無について話題にするつもりはなかった。だが私にはその悩みを打ち明ける必要があったのかもしれない。それが助けになったかどうかは分からないが。

とにかく、次のMEKセッションが始まるころには、ヘレナはすっかり調子を取り戻していた。後になって考えてみると、彼女は自身がなかったのかもしれない。自分のシンクロ率は偶然でしかないと自分に言い聞かせていたようだ。しばらく批判は控え目にしたほうがいいかもしれない。

#23

少なくとも私自身のセッションは順調に進んでいる。今でも自分の作品に乗って戦いたいとは思わない。それでも格納庫にいるのが私とMEKだけになった時だけは、本当にリラックスすることができる。

私はただ単に長時間働いているだけではない。私はゲートウェイ・プロジェクトでもかなりの時間を費やした。その前のTEK爆弾の時もだ。今の私は長時間働くと同時に、他人の相手もしている。しかもずっとだ。パイロットセッションは改善されつつあるが、それ以外のことも私がやらなければならないのか?

「アンティアゴ、水道管が壊れた。サンティアゴ、誰それが弾を無駄遣いしている」常に邪魔が入る。

コックピットに隠れてしばらく眠りたい気分だ。恐らく誰にも見つからないだろう…

#24

なぜ上手く行かない!私のレテポートシミュでは、MEKのパワーシステムは完璧に融合する。それなのになぜリアクターが止まってしまうんだ?エラーの発生理由が分からない。だがそれを無視してそのエラーがもし正しかったら、融合プロセスによって壊滅的なリアクターのメルトダウンが引き起こされることになるだろう。

ありえない!この計画は道半ば頓挫してしまうのか?これがこの計画全体で最も重要な分岐点になるのか?

故郷にいる時はこんなミスは絶対に犯さなかった。だがそれは恐らく、オリジナルのサンティアゴが私よりも優秀だったからだ。私が近似値的な存在でしかないとしたら、劣化した部があるのかもしれない…いや、私ならどうにかなる。いつもそうやってきた。

#25

シミュレーション157Bはまた失敗した。エラー612-A4、いつもどおりだ。リアクター結合にほとんどチャージされない。

プロジェクトの失敗経験はある。だがこんなのは初めてだ。しかもこんな壮大なものではなく、ゴール間近での失敗しかなかった。なぜこんなことになるんだ?これは私の長い人生の中でも最高傑作だ。このままだと私の評判が台無しになってしまう。何としても実現する必要がある。そうしなければ太陽の周りを回る死んだ石の塊が私の遺産になる。

さらに30回シミュレーションを行った。寝るまでにもう30回シミュレーションできそうだ。もし他のエラーが発生したら、その変数の影響を受けている部分の隔離作業を始められる。とにかく私に仕事を与えてくれ、何でも構わない。

#26

あの愚か者たちがあんな趣味の悪いことをするとは思っていなかった。そこまでして私に嫌われたいのだろうか。

何のシミュレーションをしていたのか覚えていないが、私はついに意識を失った。そして気が付くと、「緊急事態」に対処させるためにヘレナとカズマが私を引きずっていた。私が寝ぼけていなかったら、彼らが嘘をついていたことを見抜いていただろう。だが現実はそうではなかった。そしてケーキを見た時に初めて理解できた。

今日が何日なのかは誰もはっきりとは分からない。だが皆によって今日が6月26日、つまり私の誕生日だと決められたようだ。彼らによると、それが理由で私は今日は働けないとのことだった。私はできの悪いケーキを食べて、「楽しむ」必要に迫られた。死にたい気分だ。

まあいい。ケーキはそこまで悪くなかった、それに多少は「楽しむ」ことができた。ただ彼らにはそんなことは言えない。そんなことをすれば私の評判はがた落ちだ。あの愚か者たちめ…

#27

エネルギーフローの問題があれほど簡単に解決できるとは思っていなかった。誕生日委員会に一日中拘束された後、仕事に戻ってから数時間の内に解決してしまったのだ。つまり私がすべきことは、いったん距離を置き、新たな視点から見直すことだったのだ。

それ以降、すべてが順調に進んでいる。パイロット訓練はもう少しで完了するし、部品の大半の組み立ては終わっている。それにチーム全体の作業効率もピークに達している。カズマですら文句のつけようのない仕事ぶりだ。

勘違いはしないでくれ、彼らは今でも世間知らずの間抜けだ。それでも、彼らは私の世間知らずの間抜けなのだ。

#28

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MEKの構築が最終フェイズに入ったため、私はパイロットチームにちょっとした報酬を与え、メガMEKの融合プロシージャをシミュレートすることにした。実際に行うにはまだ数週間かかるだろうが、このシミュレーションは非常に精度が高い。

予想より良い結果が出た。3度目の実験で完全に連携が取れた。誰が体のどのパーツを動かすかということについて、冗談めかした話し合いをしたことが功を奏したようだ。メイ・インはソードアームのスイッチを切ることを頑なに拒否し、ヘレナは説得されて足の担当から外された。そうでなければ我々が踏みつぶされてしまう。

技術者の道義に反していることは分かっている。だが今はこれを自分で動かすのが楽しみになってきた。純粋さなどはどうでもいい。

#29

早すぎる。こんなに早く見つかるとは!

我々が目にしたあの巨大な怪物たちこそが、このMEKプロジェクトを進めるきっかけとなった生物なのか?奴らの一部がキャンプ・オメガの方に向かっていった。しかも機械式ドローンや変異動物などを引き連れていた。

できるだけ早く動く必要がある。だが夜通し作業を進めたところで、奴らとの戦いにはMEKを1つしか使用できないだろう。ツートップだ。他のMEKも完成間近だが、最終起動プロシージャを省略すればパイロットを危険に晒すことになる。彼らならそのリスクを受け入れるだろうが、私にはできない。

なぜ今なのだろうか?あと半日あればリンクアップできたはずだ。我々はあと一歩のところまできていたのだ。

#30

1台のMEK、それが我々の全力戦だ。こうなったのは私の機械をベータテストに使用していたからだ。私だけで片づけられるとは思わない。歩兵のサポートがあったとしてもだ。だが今すぐ出発して奴らの注意を引き付ければ、他の準備が整うまで時間を稼ぐことができる。

残念なことに、我々にはこのMEKに代わるような資源がない。それにこれを使わなければ私の最後の作品を完成させることはできないだろう。できれば完成した姿を見てみたかった。だがそれ以上に、すべてが融合した瞬間を見れないのが残念だ。その時にはこの一風変わった小部隊が史上最強のチームへと生まれ変わるだろう。

とにかく、これであの愚か者たちの生き残れる可能性が少しでも高くなるのであれば、私はそれにかけてみようと思う。何と言われようと、彼らは私の間抜けたちなのだ。


サンティアゴのその後

キャンプ・オメガを襲撃しに行っていたタイタンたちを引き付け、メイ・インとヘレナのMEKが起動するまでの時間を稼ぎます。遠くの地までタイタンを引き付けるも、MEK1対では太刀打ちできずその後息を引き取ります。



サンティアゴのストーリー、最後が切ないですね~~!!トライブメンバーを間抜け共と見下しながらも、最後はそれでも自分の大事な仲間なんだと、命をはってトライブメンバーを助ける様は涙なしには語れません。

MEK1対では太刀打ちできないこと、恐らく自分は死ぬだろうということを察しており、そのためノートに「MEKの完成した姿を見て見たかった」と綴っているのも切ない。最後はMEK動かすの楽しそうだったもんね。メガMEK見て見たかったよね…。

思うに、「幸運なことに私は記憶を映像として残すことができる」と書き残しているあたり、サンティアゴはサヴァン症候群かギフテッドだったんじゃないでしょうか。トライブリーダーを務めたり人を指導できるあたりサヴァンよりはギフテッドのほうが近そうですが…。ともあれ物凄く能力が秀でた人物であることは間違いないですね。ただ自分でも自覚しているようですが、性格にやや難があるようです。

また、ノートの最初の方でかなり重要なことを書き残してくれています。それは「この地は間違いなく地球」であること、「地表がエレメントで溢れかえっている」こと、そしてそれは「人間がエレメントを使いすぎた結果」であることを明かしてくれます。そしてそうなった理由の一旦は自分にあるだろうこともノートで告白してくれます。

「我々の時代ではここまで簡単に手に入るものではなかった」とあるので、ダイアナやサンティアゴが生きていた時代ではエレメントは存在していたものの、結構な貴重品だったみたいですね。その後サンティアゴが作った兵器のせいなのか、はたまた一般家庭にまで浸透してしまったせいなのかは定かではありませんが、エレメントを使いすぎたせいでエレメントの微粒子が撒き散らされ、それが大気へ、そして土へと浸透し地球を侵略していったようです。

タイタンをみて「あの巨大生物はエレメントによる突然変異だろうか?」とありますが、答えはYESです。アベレーション編を読んでいる人ならわかると思いますが、エレメントは体内に取り込むと突然変異を引き起こします。凶暴性が増すだけでなく、生物の姿かたちも変えてしまいます。つまり汚染生物やタイタンはもれなくみんなエレメント漬けということです。




以上!サンティアゴのストーリーでした。次回は我らが主人公ヘレナのストーリーについて紹介していきたいと思います。


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イルファン・カーン
2015-12-18