ark254

ストーリーに関する記事一覧はこちら → ストーリーのまとめ記事(リンク集)

前回でジェネシスの大まかなストーリーを紹介し終えたのですが、蛇足のような形で「断片的なバグの発見」というバグレポートがあります。これはその名の通り、いろんなバイオームに散らばっている、ストーリーとはあまり関係のないバグレポートになります。

見なくても問題ないノートではありますが、他のサバイバーが何をしてたかやARK世界の過去情報が書かれていますので、ストーリーを深く理解したい方は時間がある際に是非一度目を通してみてくださいませ。

読みやすいよう、あくまで私なりにまとめたストーリー内容となりますのでその点よろしくお願いします。原本が気になる方は是非エクスプローラーノートを集めて見てみてくださいませ。また、断片的なバグのノート数は合計74枚と非常に多いため、今回は前編と後編に分けてお届けしていきたいと思います。

それではいってみましょう!

断片的なバグの内容(前編)

(※ )部分はストーリーが分かりやすいよう入れている注釈です。
ストーリーに関する重要部分やゲームのメタ的な部分については太字にしています。

#01

ark281
おかしいですね...このバグは地球の古い文書への度重なるアクセスによって生じたもののようです。そしてこの場合、その文書というのは、1700年代の小説「ロビンソン・クルーソー」を指すようです。その内容の一部を読み上げますね。

「体はずぶ濡れで着替えるものはなく、自分を元気づけるための食べ物も飲み物もないのだ。前途に横たわるは、餓死か、野獣に食い殺されるかだった。特にこたえたのは、何一つ武器を持っていないので、食料を得るために動物を殺すことも、逆に自分が食い殺されそうになったときに身を守る手立てもないことだった」

何だか...聞き覚えのある話ですね?

#02

これも地球の古い文書へのアクセスによって生じたバグです。ふむ、どうやらこれは1700年代にジェレミー・ベンサムが書いた手紙ですね。監獄内の全ての独房を見渡すことができる全展望監視システムについて記されています。一部読み上げますね。

「囚人の監視者は誰からも見える事はない。このため、目に見えず、遍在しているかのような錯覚が生じる...それが全展望監視システムである」(※要するに監視者側から囚人は見えるが、囚人側からは一切監視者の姿が見えないシステム)

...少し不気味に感じるのは私だけでしょうか?

#03

このバグを修正したとき、ある歴史のデータにアクセスすることができました。そうですね...あなたから見れば、これは「未来の歴史」でしょう。全てが崩壊する前の、まさにARKシステムが完成した時代。ある戦争が起きたんです。

地球共和国連合(※)と地球人民連盟(※)の間に起きたとされる戦争です。両者とも、思想や目指すものに違いはありませんでした。1つの肉を引っ張りあう2匹の犬に過ぎませんでした。ただ、それが終焉の引き金となったんです。

※ダイアナが所属していたのが地球連合共和国軍、サンティアゴが所属していたのが地球連合軍のため、恐らくサンティアゴが「地球人民連盟」側だと思いますが…。どちらの軍も名前が完全一致しないため、もしかしたらその後合併して「地球共和国連合」という名前になったのかもしれません。

#04

ark282
このバグにもある歴史のデータが付随していました。何者かがシミュレーション内部から地球の歴史を盗み見ていて、それがバグを引き起こしていると思われます。まあそれはともかく、このファイルはヒトの進化の、その次の段階である「ホモ・デウス」についてのものです。

ホモ・デウスとは、死ぬ運命にある肉体を完全に捨て、純粋なエネルギーによって成り立つ魂そのものです。そう、私の開発者であるヘレナもその一人です!(※エクスティンクション攻略中にヘレナはホモデウスへと進化しました)しかし、それには欠点があることに誰も気づきませんでした。ホモ・デウスは現実を超越し、やがて私たちの観点からは、彼らは認識できない存在となりました。認識できないというのは、それすなわち存在しないと同義です。

私が判断すべきではないのでしょうが、「存在しない」というのは、進化の対価をしてはあまりに大きすぎるように思えます。

#05

このバグの中には、ARKに関するデータが埋め込まれていました。ほとんどが技術情報ですが…。ARKには、Genesisシミュレーションと同様の技術基盤が使われており、恐竜の生態系もほぼ同じもののようですね。

ただ、私の理解が正しければ、ARKにいたサバイバーの多くは、自分が人工宇宙ステーションの内部にいるということに気づかずに生きて、死んでいったのではないでしょうか。彼らは一体、何を思い、生きていたんでしょう。これはきっと夢に違いないと、自分に言い聞かせていたんでしょうか?もしくはタイムトラベル?それとも前世の記憶?

#06

紫がかったような石の塊、もしくはエネルギーを帯びた高度なオブジェクトを見かけた場合、注意してください!それはエレメントでできている可能性が高いです。

エレメントというのは、建築材料にもなれるしエネルギー源にもなる夢のような物質です。しかし、時として予期しない形で、周囲のものと適合し影響を与えることがあります。汚染、または破壊という形で。一度適合したこれを修復するのは、バグを修復するよりもはるかに難しいです。

あなたならエレメントを利用する方法を思い付くかもしれませんが…いいですか、サバイバーさん?くれぐれも取り扱いには注意してくださいね?

#07

ark283
ドジなサバイバーがいた場合、時にはそれもバグの原因になることがあります。

例えば、サバイバーNo.5337B49は512個ものベリーを一度に食してしまった結果、シミュレーションがオーバーフレーを起こし、彼女のシステムがバグってしまうということがありました。

まあ、その後彼女はベリーを全部吐き出して事なきを得たようですが。

#08

ark284
このバグは修正しましたが、サバイバーNo.992F1J7は残念ながらもう手遅れでした。彼はクエストがどうとか、ダンジョンがどうとか言いながら、自分の事を「魔法使い」などと思いこんでいるようです。

彼はしきりにファイアーボールで恐竜を倒そうとしますが、そんな呪文は当然使えるはずもなく、すでに何度も死亡しています。そしてあまりにも短期間にリスポーンしすぎたせいでシステムがバグってしまったようです。いくら私でも、彼の頭の病気は治せません。

このバグはサバイバーNo.38Q8124によるものですね。

#09

彼は数日間寝ることなく、ずっと起きてサバイバルを続けているようです。このシミュレーションでは、サバイバーが寝ている間に定期メンテナンスおよびメモリーセーブを行う事になっていますが、彼は寝ていないために、脳がオーバーフローを起こしているようです。

まあ、要するに、疲れたらさっさと寝ろってことです!恐竜のテイムなんて徹夜してまでやるもんじゃありません。

#10

ark285
えっ、あれ?私今何を言って…?すみません違うんです、今のはバグの影響と言いますが、うう…とても不愉快な気分です(※ノート読み上げの前にバグったような喋り方をしてくれます)

#11

「選択されたバグは…正常に修復されました。別のバグを修復する場合…2を押してください」

あ、申し訳ありませんでした。なんと言いますが、プログラムの中に自我が埋もれてしまい、戻ってくるのに少し時間がかかる時があるんです。それで…えっと、何の話でしたっけ?

#12

今のは、シミュレーションの開発者の1人が用意した「スヌーズ機能」と呼ばれるものですね。なぜ急に作動したのかについては、彼に小一時間問い詰める必要があるでしょうね

#13

ark286
このようなバグをたくさん見れば見るほど、ARKのことを思い出します。もちろん、私が実際にARKにいたわけじゃありません。でも、ヘレナはいました。

彼女はARKで生き残り、地球に逃げ延び、やがて純粋な魂とも呼べる存在(※ホモデウスのこと)へと昇華され、そして私を創り出しました…。正直に言えば、ホログラムでしかない私が肩代わりするには、あまりに重すぎる人生です。

ただ、Genesisシミュレーションで精神が保管され肉体へと転送されるシステムは、あの数々のARKで使用されている技術と基盤は同じです。彼女の人生が、私の道標となってくれる気がするんです。

#14

私はずっと不思議に思っていました。なぜ恐竜なのか?と。恐竜たちが地球上を闊歩しちた時代に、あなたたちサバイバーが誰一人産まれてすらいなかったことは明白です。あなたの時代にいた生物、例えば馬や鶏、可愛い子猫なんかでもいいではないですか。というわけで、その疑問への手がかりをこのバグの中で見つけました。

当時、Genesisシミュレーションの開発者は、実験として試しに恐竜をシミュレーションの中に入れてみたんです。そしてその結果、恐竜が他の生物に比べ、サバイバルテストという目的に対してはあまりにも効率的な手段だと判明したんです。

ええ、ARKに恐竜がいるのも、その結果を流用したに過ぎません。

#15

このGenesisシミュレーションの環境は極端すぎます。熱さ、寒さ、そして大気など…その全てがです。危険度レベルは最大の11に設定されており、その結果、今しがた修正したようなバグが時折発生するくらいには異様な設定です。

さて、ここで1つの疑問が湧いてきます。実のところ、シミュレーション…「シミュレートすること」って、何なんでしょうか?今私たちの置かれているこの環境は、地球上で見られるどのような環境より、ずっと致死性が高いです。

数々の戦争、暴れ狂うタイタンやその他諸々が過ぎ去った今でさえ、地球では類を見ない環境です。これは一体どういうことなんでしょうかね?

#16

あのバグは別に無視してもいいくらいの小さなものでしたが、おかげでGenesisシミュレーションに存在する他のバイオームについて少し知ることができました。驚くなかれ、他のバイオームはこおとは全く様相の異なるものになっていますよ!

恐らく、それぞれのバイオームで何回かテストが行われる仕組みになっていて、最後に、最終テストを行うマスターAI、つまるところのボスがいるようです。しかし、最後のバイオームについては、少し不明慮な部分があり、読み取ることができませんでした。

まあ、先に進めば、いずれわかるでしょうね

#17

ark287
コードを全て解析したところ、これは他のサバイバーに関する観察データでした。Genesisシミュレーションでは、各自が自分一人で生き延びるのか、はたまた他人と協力し合うのかを重点的に観察しています。

恐竜の闊歩するシミュレーションそれ自体は、考古学者と生物学者が夢見るものかもしれませんが、中で生きるサバイバーについては、社会学者や心理学者にとって喉から手が出るくらいに欲しい実験対象でしょうね。

おっと、少し話しすぎたかもしれません!全国の研究者の皆さん、申し訳ありません。

#18

このバグも、地球の古い文章への不正アクセスによって生じたものです。なになに…アレキサンダー・セルカークに関する歴史資料ですか。彼は16世紀の水夫で、南太平洋の島で4年間避難生活を送った人物ですね。さて、資料を読み上げます。

「セルカークは仮組の寝床を作り、生き延びるために狩りを始めた。そして、やがて狩るだけではなく、生き物を飼い慣らすことにした。結果的に、それは飢えと孤独を解消することに繋がるのであった」

…ふむ、彼がここに来れば、うまく生き延びることができるでしょうね!ただ、このファイルにアクセスした人物は、セルカークの孤独への対処法に関する部分を読んだんですよね?どんな種類のベリーを食べたか、とかではなく。実に興味深いですね…

#19

これは地球の古い文章への無断アクセスが引き起こしたバグです。その文章というのは、19世紀の小説家サミュエル・バトラーの「エレホン」という小説です。バグの原因となったのは、次の部位分ですね。

「日に日に我々は、機械に従属するようになっていく。日に日に我々は、その一生を機械の発展へと捧げるようになる。機械がやがて我々に追いつき、世界の支配権を握る事に、もはや疑念の挟まる余地はあるだろうか?」

ふむ、彼はこれを1872年に書いたようです。Genesisシミュレーションについて、果たして彼はどのように考えるんでしょうね?

#20

1つ、気にかかっている事があります。Genesisシミュレーションの開発者は、地球の歴史上のあらゆる人物の人格や記憶データをどうやって手に入れたんでしょうか?彼らの最先端技術をもってしても、生きている人の心をスキャンするのは困難なはずなのですが、19世紀の人々のものまでどうやって?ヘレナがARKにいた頃には、3世紀にまで遡る友達がいたんですよ…?

今、ちょっと調べてみたんですが、人が死んだ後、脳の中には「魂の基盤」と呼ばれるものが残っていることがわかりました。その基盤さえ残っていれば、死者数百年後でも、科学者たちはスキャンできたようです。

私が知りたくないのは、これらの基盤を手に入れるために、彼らが一体いくつの死体を掘り起こしたか、ということです。私の好奇心にも、限度というものがあります。

#21

このバグは、無断で行われた研究の結果、発生したものですね。誓って私がやったものじゃありませんよ、ええ!

しかし、ホモ・デウスが今どこにいるかを把握するため、何者かがクエリを実行しているようです。ただ、結論から言ってしまえば、それは「わからない」でしょうね。ホモ・デウスは、現実を超越した存在。「どこかにいる」という概念すら、彼らにはないのかもしれません。

ARKと繋がっている者も中にはいるようですが、私の元となったヘレナについては、今どこにいるのか、私にもわかりません。(※公式wikiで、ホログラフィックロボットを作成した後不明な理由で突然消えてしまったという記述があります)

#22

このプログラムは…Genesisシミュレーションの開発初期のバージョンの名残ですね。今でこそGenesisシミュレーションという名前ですが、これは最初に開発されたシミュレーションではありません。初めての試みで、これほど優れたものを作ることはできませんよ、ええ!

最初に開発されたシミュレーションは、一目で人工的だとわかる、まさに幾何学的図形の集まりでした。また、恐竜などのAIをそれらしく振舞わせるのにも長い時間がかかり、人間の精神と肉体をうまく融合させるのにも、それはもう長い年月が必要だったんです

#23

いつか出会うだろうとは思っていましたよ、ええ。純粋に恐竜によって発生したバグに。ええ、サバイバーでもなく、ましてや今Genesisシミュレーションのシステムの裏側に潜んでいる誰かさんのせいでもない、ね。

恐竜たちを歩き回らせ、食事や睡眠を取らせ、繁殖させる。そのAIは想像以上に複雑なものです。うんちをする、というサブルーチンにさえ複雑なプログラムが組み込まれているんです!

恐竜がたまに誤作動を引き起こしたとしても、驚くに値しません。これの下にうんちがないことだけでも喜ばしいことです。

#24

あるサバイバーの悪ふざけがバグを引き起こすこともあります。

サバイバーNo.31V550Jは、箱を1つ作りました。ここまではいいですよね?ところが、彼はその箱を別の箱の中にいれました。そして、それをまた別の箱に入れて、また別の箱に。そして入れ子の箱が16層に到達した時…ドカーン!バグの一丁出来上がりです。

恐らく、彼は単に試していただけなのかもしれませんが、16層ですよ?もっといい趣味を見つけたほうがいいと思いますね、まったく。

#25

ark288

このバグは、サバイバーNo.9921S50が残していった唯一のものです。彼は13世紀のモンゴル人でした。まさかとは思うでしょうが、彼はチンギス・ハン(※モンゴル帝国の初代皇帝)の軍の一員でした。中央アジアの平原で一生を過ごした彼が、大海原を目にしたその瞬間を想像してみてください。

このモンゴル人は、海というものをまるで理解できませんでした。なぜなら彼は、川や小さな湖以上のものは見たことがなかったんです。水平線にまで広がる水面を見て、その思考回路が海の深さにまで達した時、彼の脳は壊れてしまいました。可哀そうに。

#26

ark289

Genesisシミュレーションはあらゆる建築に対応したプログラムが組まれていますが、限度というものもあります。このバグを例に考えてみましょう。

これはサバイバーNo.723K401が引き起こしたものです。彼女はそこら中に柱を立てることを思い付きました。屋根を支えるため、とかじゃありません。何もないところに柱だけがあるんです。この世界に自分のいた証を残す、というのは疑いようもなく人間の本能ですが、これは建築ですらなくいわば芸術です。彼女が後始末さえしてくれればよかったんですが。

#27

おっと、失礼!バグを消化するのに少し手間取ってしまいました。(※読み上げ前に少しバグったような声をだしてくれます)

#28

生麦生米生卵。蛙ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ。赤巻紙青巻紙黄巻紙、赤巻紙青巻紙黄巻紙。

あー、こほん。バグを修復するために声を再起動する必要があったんです。これですべて解決しました。

#29

「ガオー。ガオーッ。ブゥゥ。スンスン。グルルル」

ふぅ!今のは私ではなく、恐竜の鳴き真似です。バグを修復するためにこれは必要なことなんです、ええ。えっと…続けてもいいですか?

#30

あなたも気づいているとは思いますが、バグの数が少し以上ではありませんか?まあ、原因は様々ですが、Genesisシミュレーションの処理はそんなやわなものじゃないはずなんです。どうも、このシミュレーションは何らかの要因で急遽始まったようですね。

なぜわかるのかって?品質管理チームがチェックするはずの項目リストが、未確認のままファイルにごっそり残っていたんですよ。ええ、それはもう私の腕ぐらいに長いリストです。私に腕があればの話ですが。

…今のは場を和ませるための、私のおちゃめな冗談です

#31

システムのプログラムを閲覧していたら、1つ奇妙な発見がありました。少し技術的な話になりますが、Genesisシミュレーションには山のようなサブルーチンが組み込まれています。それは環境に対して長期的な変化をもたらすものです。

ここで言う「長期的」というのは、言葉通り、陸地と海の割合の変化や恐竜の進化など、数百年単位のものを意味します。

一体、このシミュレーションはどれほど長く続けることを想定されているのでしょうか?

#32

これもサバイバーのデータ管理システムが原因で生じたバグです。どうやらあの中では、今何か重大な問題が起きているようですね。そのせいで精神そのものが欠落して、リスポーンできずにいるサバイバーも多くいます。もちろん、すべてのサバイバーではありませんが、少なからぬ数です。

でも、あなたは大丈夫そうですね?脳の状態は良好のようですし、性格もいつも通り…好戦的ですね。もし頭に違和感を感じるようなことがあれば、いつでもこのHLN-Aさんに相談してくださいね?

#33

今、サバイバーデータベースをこっそり見ていたんですが、その時あなたの精神構造もちょっぴり見えてしまいました。うっ…そんな目で見ないでください、仕方ないじゃないですか!私の好奇心は海よりも大きいんです!

えー、それでですね。ファイルサイズを基準に判断すると、あなたを「あなた」たらしめているのは、記憶というよりも、人格の方ですね。記憶と人格のバランス、それこそがGenesisシミュレーションの開発者が細心の注意を払って設計した部分です。

あなたが地球にいた頃の記憶を部分的に思いだせないのだとしたら、それは、あなたがあなたであるために必要な代償のようなものでしょうか。思い出せないものは、思い出せないってことです。

#34

以前、侵入者やサバイバーが原因ではないバグが発生したことがありました。その原因は、あるプログラムによるものでした。シミュレーションの開発者は、このプログラムを「キー」と「モジュール」の性質を併せ持つものとして、「キーモジュール」という名称で呼んでいました。

それは、言葉通り、コードキーの役割を果たしながら自己修復機能を備える代物でした。いわゆるワクチンのようなものとして開発されたのです。ただし、誤った方法で利用されると、それは凶悪なウィルスとなるのです。ええ、つまりはそういうことです。

#35

ark290

シミュレーションの試作段階のバイオームの1つに、現実世界を模したものがありました。国立公園に観光名所にショッピングセンター…ええ、それはもう、たくさんのショッピングセンターがありましたよ。ここにあるのは、当時のプログラムの断片みたいなものです。

えっ?割引価格でアフターシェーブローション(※髭剃りをした後に使う化粧水のこと)を買っておきたい、ですか?でも残念!たった今割引券は削除しちゃいました、ふふ。

#36

サバイバーさんはとても面白いですね。いえ、褒めているのです。あなたは見て、行動して、先へ進むために努力をし続けています。人間がみな、あなたと同じように力強く生きられるとは限らないんです。これと同じようなシミュレーションに転送されてきた時、生きることを諦めてしまう人もいました。

また、ここのデータベースの資料によると、シミュレーションの中で生きているうちに怠惰になったり、さらには理性を失ってしまう者もいたようです。彼らの一部は、ここが現実ではないと薄々気づいていたんでしょうね。それが彼らのタガを外してしまったんだと思います。

彼らは何をするかわかりません。できれば、出会いたくはないですね…。

#37

シミュレーションに転送されることになった最初の人間たちは、それが短い滞在になることを予め知っていました。しかし、状況は思わしくない方向に向かい始めました。彼らは、この中でずっと生きていたいと思うようになったんです。それを受け、シミュレーションの開発ガイドラインが改訂されました。これがそのガイドラインです。要約すると、次のようなものになります。

「シミュレーションは良いもににする。だが良すぎるものにしてはいけない」

シミュレーションを快適なものにしてしまうと、一部の人間は現実に戻ることすら拒否するようになるんです。まあ、あなたが今いるシミュレーションは、少々やりすぎだとは思いますが。




以上が断片的なバグの一部です。

14番目のバグレポートみるに、GenesisシミュレーションはARKが稼働するよりも前からあったようですね。他のレポートでも似たようなことが書かれていますので、ARKとシミュレーション作りは同時進行、もしくはシミュ→ARKという時系列で開発がされていたようです。つまり、Genesisシミュレーションはヘレナが作ったわけではなく昔に作ったシステムを再利用しているにすぎないようですね。設定などは手が加えられているのかもしれませんが…。

記事が少々長くなってきましたので、残りの37枚は後編にて紹介していきたいと思います。明日にはアップできると思いますので少々お待ちくださいませ~!



ストーリーに関する記事一覧はこちら → ストーリーのまとめ記事(リンク集)