カルドセプト リボルト|ストーリー解説 救世の神都編 その2

基本情報
タイトル:カルドセプト リボルト
プラットフォーム:Nintendo 3DS
ジャンル:カードゲーム+ボードゲーム
発売日:2016年7月7日
開発 / 販売:大宮ソフト / 任天堂
プレイ人数:1~4人
公式サイト:カルドセプト リボルト 公式サイト
ストーリーに関する記事一覧はこちら → ストーリーのまとめ記事(リンク集)
前回の続きです。前回は浮島となって襲来した神都ダフネリオン、聖騎士フィフリィとの対決、妹ニーナとの再会、そして預言者ゲッペルの正体が亜神サイクだと判明したところまででした。今回は月にまつわる秘密、そしてアレン自身の出自まで一気に明らかになっていきます。
主人公の名前は好きに決められますが、一応公式が「アレン」という名前をつけているので、主人公の名前は「アレン」で記載させていただいてます。
5.救世の神都(つづき)
預言者ゲッペル=亜神サイクが本性を現し、宝珠そのものが偽りだったと暴露される。希望を失いかけたアレン一行は、月にまつわる謎を追って水晶の塔へ。そこで待っていたのは、塔の主・ルリエーナと、月の正体、そしてアレン自身の出自にまつわる衝撃の真実だった──。
登場人物
人物として新たに、水晶の塔の主「ルリエーナ」が登場します。サイクとゼネスは前回から引き続きの登場です。

ストーリー構成
- 神都、襲撃 - 美しき女騎士
- 帰郷 - 忘れがたき屈辱
- 神都の長 - 日々の鍛錬1 - 日々の鍛錬2
- 現れた宿敵 - 驚天動地の力 - 安住の地
- 月影を追って - 最後の日 - 決別の儀式
- 魂の旅立ち - 生命の宝玉 - ガーディアン暴走
- 異世界の女王 - あの日のように
- 明日を賭けて
5-4.現れた宿敵
預言者ゲッペル──その正体は、亜神サイクであった。「フフッ、また会ったな、アレン」と笑うサイクに、「まさか神都ダフネリオンに潜んでいたとはな」とアレンは警戒を露わにする。
そうしてサイクは、これまでのいきさつを語り始めた。伯爵の街を離れた後、ゼネスの手を逃れて身を隠す場所を探しており、その過程でこの神都ダフネリオンの存在に気づいたのだという。「エンディーグは強大な力の持ち主だった。そこで私は考えたわけだ。アレンとエンディーグ、ふたりを争わせ、弱らせればいいと」
「すべてはお前の書いた筋書きか」と言うアレンに、サイクは愉快そうに大声で笑った。「ハハハッ、エンディーグ。セプターとしては強力でも、策謀には弱かったな!少し手助けしてやったら簡単に盲信してくれるのだから。あんな“つくり話”を真に受けてくれて、じつに助かったよ」
その言葉にアレンはハッとする。「では宝珠というのは、お前の……!」サイクは嘲笑を浮かべ、衝撃的な真実を告げた。「そのとおり。この世界最後の神器“宝珠”だと?そんなものは実在しない!そんなものが存在するのであれば、私が察知しているだろう。神なきこの世界に、神器は存在しない。消失からまぬがれる術もない。どう転ぼうが、この世界は私の踏み台として散る運命よ!ハーハハハッ!」
残されたエンディーグは、自らの愚かさを悔やむように呻いた。「ダフネリオン救済のためとはいえ、私は、こんな者にすがっていたのか……」悔しさを滲ませるエンディーグとアレンの前に、サイクは歩み出る。「さて、もうどちらにも抵抗できる力は残っていまい。私はふたりを倒し、世界の頂点に立つ!」
いまにも襲い来るサイクを前に、アレンはエンディーグに協力を要請する。「聞いたか、エンディーグ。協力しろ。こいつを倒すんだ!」しかし、エンディーグからの返答は予想もしないものだった。「……信じられん。もはや……誰もな。お前もこのサイクと通じているのではないのか?」疑心暗鬼になったエンディーグは、アレンさえも疑い始めたのであった。
アレンは即座に「そんなことはない!」と否定するが、エンディーグの暴走は止まらない。「もう自分すら信じられん。せめて主教としての責任だけは果たそう。侵略者は討つべし!」そうしてエンディーグは、アレンとサイクに向かい合うように位置を移した。
エンディーグとの協力はあきらめたアレン。「しかたない。たとえどうであれ、サイクに敗れるわけにはいかない」と決意を新たにし、3人での乱戦に臨むのであった。
◆ 戦闘終了後 ◆
サイクは悔しげにアレンを睨みつけ「まだ、これほどの余力を残していたとは!」と吐き捨てる。それに対しアレンは「余力などない。だが、お前には負けるわけにはいかない!」と強い眼差しで返した。
敗れてなおサイクは不敵な笑みを浮かべる。「貴様らを消耗させただけで十分だ。またほかの世界から、セプターを呼び寄せるまでよ!」しかしその言葉に「そうはさせん!」と突如待ったがかかった。その場に現れたのはゼネスであった。
「チッ、しつこい奴め」と苦々しく呟くサイクに、ゼネスは叫ぶ。「生まれた世界で戦い、覇者の座を争う……それがセプターの掟だ!他世界の者がその座を奪おうなど……そんな企てでは、俺が許さん!」それに「ほざけ!元より、貴様に従う気などない!」と言い残し、サイクはその場を逃走した。「貴様は必ず、この俺が捕らえる!」ゼネスもまた後を追うように姿を消した。
2人が去ったあとの大広間で、最初に声を出したのはアレンであった。茫然としているエンディーグに「気にするな。騙されていたことを、咎める気はない。それより見せてほしいものがある」と過去を水に流し、同時にひとつ頼みごとを切り出した。「“創世の樹”とは、どこにある?」
エンディーグに導かれ、一行は神殿の奥深くへと足を踏み入れた。広間の中心には、大きな枯れ木がそびえ立っていた。アレンはこの樹に本当に世界の消失を止める力があるのか、半信半疑でエンディーグに問いかける。エンディーグは重々しい口調で説明を始めた。「この樹は、世界消失を憂いた神官たちが育て、長年に渡ってダフネリオンを消失から防いでいた。しかし、この樹も疲弊し深い眠りについてしまった。それと同時にダフネリオンも再び崩壊を始めたのだ。力を取り戻すには魔力の源となる“神器”が必要なのだ」
そこへフィフリィが「本当にこの世界に神器がないのなら……この樹がめざめることは永遠にないでしょう」と付け足した。
「他に目覚めさせる方法はないのか?」と問うアレンに、エンディーグは昔の伝承について語り始めた。「こういう伝承もある。創世の樹は、月の力でめざめると。我々は月明かりに違いないと考え、神殿の天窓から月光を注いでみたこともあった。……しかし、なにも起こらなかった」
「失敗したのか?」とアレンが問うと、フィフリィとエンディーグは驚いた表情をした。「この試みにはアベリオル、お前も立ち会っていたのだ。結局はなんの成果も得られず、お前は長らく考え込んでいた……」そんな二人に「悪いが、そんな記憶はまったく無い」とアレンは詫びる。そして(世界を救う方法は、なにもないのか)と心の中で考えるのであった。
独り言エンディーグ簡単にゲッペル信じたかと思うと今度は何も信じられない…とかいってメンヘラになるの、教主として大丈夫かい??となってしまったwそしてサイクのネーミングセンスよ…ゲッペルて……。
5-5.月影を追って
神殿から街へ戻ってきたアレン。立ったまま夜空を見上げているアレンに、ユマが「どうしたの?」と声をかける。「夜空を見ていただけだ」と答えたアレンに、ナイトホークが笑いながら「いつからそんなロマンチストになったんだ?」と茶化す。「ニーナの話によると、記憶を失う前の俺はよく夜空を見上げていたそうだ」とアレンは以前ニーナから聞いた自分の話を語った。
「そんなことをしてる暇があるなら、世界を救う方法でも考えりゃいいのにな」と言うナイトホークに、アレンは「あるいは考えていたのかもしれないぞ。……月を見ながらな」と返す。そしてさらに思考を巡らせる。(記憶を失う前の俺はよく月を見ていた。そして、創世の樹は月の力でめざめるという伝承……月、月、月……。あらゆるところで月という言葉が出てくる。これは偶然なのか?それとも……)
唐突にアレンはナイトホークに問いかけた。「ナイトホーク、月とは……なんだ?」「あん?月は月だろ?」と眉をひそめるナイトホーク。アレンは続けた。「俺が聞きたいのは……あの空に浮かんでいるものの実体はなんだ?ということだ」要領を得ない質問にナイトホークは顔をしかめる。「実体!?そ、そんなこと、俺が知るかよ。月は月だろ」
アレンは冷静になおも考える。「考えたこともなかったが、記憶を失う前の俺は何かに気づいたのかもしれない……」だからずっと月を見ていたのではないか、と一同に告げた。「何かに気づいたからこそ、行動しようと思い立ち、どこかへ……」そう言って、アレンはニーナのほうを見る。「聞きたいことがある。いなくなる直前、俺はどこへ行こうとしていたんだ?」
「お兄ちゃんは……たしか、水晶の塔に向かったまま行方不明になったの」その答えにアレンは驚き、問い返した。「水晶の塔?それは、どこにあるんだ?」「ダフネリオンの北の果て。危険な場所だって。でもお兄ちゃんはどうしても行くって……」その答えに、アレンはその塔へ赴くことを決める。「もしかしたら、その塔になにかが……。俺がなぜ記憶を失ったのかもわかるかもしれないな」
「また塔に向かう気なの?」と不安そうにアレンを見つめるニーナ。それに「すまない。行かなければならない。でも約束する。今度は必ず帰ってくると」と、アレンは安心させるように返事をするのであった。
──水晶の塔の麓へ、一行はたどり着いた。標高の高い場所にそびえ立つその塔までの道は険しく、ユマもナイトホークも体力が限界であった。「ったく、下手したらたどり着く前にくたばってたぞ……」とナイトホークは文句を言う。
アレンがハッとする。「…………!?誰か来る」橋の向こうから、白い衣をまとった女性がゆっくりと歩いてくる。一同の前で女性は止まり、「この気配、あなたは……!!そうですか、アベリオル様の……」と呟いた。
「俺を……知っているのか?」と問いかけるアレンに、女性は穏やかに答える。「はい。アベリオル様のことは存じ上げています」「この顔に見覚えがあるんだな?」と尋ねたアレンに、しかし女性は否定の言葉を返した。「見覚えは……ありません。わたくしには……見えませんから」その言葉に「あなた、もしかして目が……?」とユマが声をかける。
女性は微笑みながらそれを肯定する。「けれど心配はいりません。目は見えずとも、あなた方の心は手に取るように分かります。それにわたくしには、目の代わりをつとめてくれる子がいますから。ねぇ、トト?」そう言って女性は手の上に止まっているふくろうの人形に声をかけた。それにトトと呼ばれたふくろうは「ボー!ボボー!」と反応して鳴く。
「で、お前さんは何者だ?」とナイトホークが自己紹介を求めると、女性は応えた。「わたくしは、この塔の主……ルリエーナ。水晶の塔を守護しています」塔の主と知ったアレンは好都合だと言い、質問を投げかける。「俺はここに月の秘密があるとみてやってきたんだ。なにか心当たりはないか?」それにルリエーナは少し間を置いてから答えた。「……あります。あなたの知りたがっていることは、おそらく、この塔の中に……」
ナイトホークは興奮気味に声を上げた。「ヒューッ!!どうやら大的中だぜ、アレン」アレンも前のめりでルリエーナに頼み込む。「それを見せてもらうことはできるか?」だがルリエーナは首を横に振った。「ご覧いただくことはできません。もう、あんな悲劇はたくさんですから」
ナイトホークは顔をしかめる。「おいおい、そうはいかねえんだよ。こっちは世界の命運を賭けて、わざわざ……」と抗議するが、ルリエーナは表情を変えず、毅然とした態度で告げる。「なんと仰られても入ることはできません。もし無理矢理、立ち入ろうとするなら……」
そのルリエーナの言葉を遮るように、新たな声が聞こえてきた。「やっかい者の始末なら、手伝ってやろうか?」後ろから現れたその声の主は、オランジだった。「ヒャハハハ、やっぱりここにいやがったな。ある人が教えてくれたんだよ。ここにくれば、お前を誰にも見られずに始末できるってな!」
ある人……その人物にユマは心当たりがあった。「多分……サイクだよね」オランジは気にせず続ける。「オレはアベリオルさえ倒せばいい。目撃者も全員倒せば、誰にもバレないしな」その言葉に反応したのはルリエーナであった。「あなた、わたくしをも……。しかたありません。塔を守るため、おふたりとも止めさせていただきます」
どうあっても塔へ入らせないルリエーナ、それになぜか自分を目の敵にするオランジ……。「俺はどうしても塔の秘密を知らなければならない。いくぞ!」と、アレンは戦闘態勢へと入るのであった。
◆ 戦闘終了後 ◆
「クッソォオオッ!ぬぁぁんでオレは、こいつに勝てないんだアアッ!!」苛立ちを隠せない様子で叫ぶオランジは、そのまま逃走していった。無言でたたずむルリエーナに、アレンは「塔の中へ案内してくれるな?」と声をかける。「入れたくはなかったのですが…敗れた以上、従うしかありませんね。お入りください」ルリエーナはそう言うと、静かに橋を渡り、古びた塔の入り口へと向かい始めた。
塔の内部、広々とした部屋に通された3人。「ここが塔の最上階、星見の間です」とルリエーナが説明する。そうして3人に問いかけた。「なにがお見えになりますか?」そう言われて横を見た一同は驚愕した。

そこには水晶に閉じ込められた、アレンがいたのだ。「これは……俺だ。俺が……死んでいる……?こいつは誰だ?俺は一体……」想像もしていなかった事態に、さすがのアレンも困惑を隠せない。ルリエーナが静かに口を開いた。「この遺体は、アベリオル様です」そしてアレンの方を向き「そしてアレン様は、アベリオル様ではありません。おふたりは別人なのです」と、衝撃的な内容を告げたのであった。
アレンは困惑した表情で尋ねた。「別人?じゃあなぜ同じ姿を……?」それにルリエーナは「順を追って、お話しましょう」と落ち着いた声で答える。「アベリオル様は、この塔にきて、あることに挑戦しました。そしてそれがうまくいかずに命を落としたのです」アレンは「それは月に関係することなのか?」と問い返した。ルリエーナはそれに頷く。
「月にどんな秘密が?やはり月光に特別な力が?」樹を目覚めさせようとしたことは明白だった。だが「いいえ、月光にはなんの力もありません」とルリエーナはそれを否定する。そして、衝撃的な真実を明かす。「あの月には……神がいるのです」
「は!?月に神って……どういうこった?」ナイトホークは驚きの声を上げた。それにもルリエーナは落ち着いた声で答える。「月には神がいて、神器がある。アベリオル様は神器を手に入れようとしたのです」アレンは驚きを隠せない。「待ってくれ。月に神器があるとは、どういうことなんだ?あの空に浮かぶ光体はなんなんだ?」ルリエーナは厳かに言った。「お教えしましょう。月とは、すなわち……」

「月とは……穴!?別の世界につながる穴だというのか?」ルリエーナが語った月の正体に、アレンは厳しい表情をする。ルリエーナはなおも語る。「あの穴は、神々の時代の争いによって開いてしまった世界の裂け目。そして、その裂け目の向こうには別世界がある」
スケールの大きすぎる話に、しかし気になるキーワードがあったことをユマは聞き逃さなかった。「そこに神様がいるの?神のいる世界なら、神器があるはず」ルリエーナは、ユマの言葉を肯定した。「そういうことです。しかし生身のままでは、他世界には渡れません。そこでアベリオル様は水晶の塔の魔力を使い、精神だけを向こうの世界に飛ばそうとしたのです」
アレンは事の顛末を察した。「で、失敗したのか?」ルリエーナは悲しげに答えた。「……はい。アベリオル様の魂は、向こうの世界にたどり着けませんでした。他世界移動は…神の力でも借りなければ不可能なのです」ナイトホークはハッと顔を上げた。「待てよ。もしかして、アレンは…アベリオルから抜け落ちた魂なのか?」もっともな疑問に、ルリエーナは答える。「いいえ、違います。アベリオル様の魂は……昇華してしまいました」
「ですが、あの方の救世に賭ける意志が、消滅の際にわずかなすき間をつくり他世界の強力なセプターを呼び込んだ……」ルリエーナはアレンをまっすぐに見つめた。「アレン様、あなたこそは、そのセプター。アベリオル様に見込まれ、彼の姿を借りてこの世界に降り立った救世者なのです」そして結論を告げた。「ゆえに、アレン様はアベリオル様ではありません」
アレンはクリスタルの中の自分に似た人物と、ルリエーナの言葉を交互に噛みしめるように言った。「アベリオルではなく、アベリオルの姿を借りた、別世界の誰か。それが……真の俺なのか」自身の正体を知り、深い衝撃を受けるのであった。
独り言月=別世界への入り口、アレン=アベリオルの意志に呼ばれた他世界のセプターっていう、情報量の多い回でしたね。前回アレンに対して「お前名前あったんか!」って思ってたのに、結局その名前は別人のものでやっぱりアレンは別世界の人でした!っていうオチ。そしてオランジ、相変わらず噛ませで安心するし、サイクは相変わらずどこかで人を使ってアレンを倒そうとしてるのに笑ってしまう。亜神というか謀略神では。
サブクエスト
5-4-2.驚天動地の力
大聖堂で話をしているエンディーグとアレン。「アベリオル、お前には本当にひどい仕打ちをしてしまったな」と謝るエンディーグに、アレンは無実をわかってもらえてよかったと返し、続けてひとつ疑問を投げかけた。「この神都はどうやって消失を免れてきた?正確な話を知りたい」
アレンの問いに応え、エンディーグは神都の秘密を語り始めた。かつて創世の樹が世界の消失を防いでいたが、その力も無限ではない。樹が力を失い、神都も崩壊の危機が迫ったとき、かつてのダフネリオンの主教は、大陸から神都を切り離し隠したのだという。
その話を聞いたアレンは「この浮遊島を自由に操るとは、すごい力だ」と感心する。「ナイトホークが聞いた話では、神官たちが力を結集したらしいな」と知っている情報を口にしたが、「神官たちが?それは少々事実と違うな」とエンディーグはそれを否定した。「何百人もの神官を束ねようが、都市を動かすほどの大きな力は、つくり出せない」
アレンは疑問に満ちた眼差しで「では、いったい誰が?」と問う。その問いにエンディーグは自信に満ちた表情で答えた。「当時の主教が、たったひとりでなし遂げた。そして今動かしているのは、現在の主教である、私ひとりの力だ」
「たったひとりの力で……?信じられない話だが……」とにわかには信じがたいその話に、エンディーグは不敵な笑みを浮かべた。「私にそんな力があるようには見えないか?ならば……試してみるか、アベリオル?」その言葉に「よし、その秘めたる力、見せてくれ。こちらも全力でやらせてもらおう!」とアレンも応えるのであった。
◆ 戦闘終了後 ◆
「これがエンディーグの真の力か。どうにか勝てたが、これなら神都を動かしたという話もうなずける」とアレンはエンディーグの実力を改めて認める。「しかしお前は、その私をも超えた……。かつての友よ。見事としか言いようがない」と今度はエンディーグがアレンの実力の高さに感服するのであった。
そしてエンディーグは突然「ひとつ提案があるのだが」と切り出す。「なんだ?改まって」と怪訝な顔をするアレン。しかししばらく間を置いたあと、エンディーグは首を振った。「……いや、これは我々だけで決めるべき問題ではないな。機を改めよう」その返答に「……ああ、わかった」とアレンは返すしかないのであった。
独り言神官たちが育て~って言ってたので、てっきり複数の神官が魔力を注いでどうのこうのと思ってましたが、まさかのたった一人で神都動かしてたっていう…。一瞬メンヘラしてたエンディーグですが、まともになったらわりと普通に有能な人でしたね。話も通じるようになってるしね!
5-4-3.安住の地
エンディーグに呼ばれ、アレンは再び大聖堂へとやってきた。「エンディーグ、いったい、なんの用だ?フィフリィ、お前もいたのか」と声をかけると、フィフリィは「エンディーグとふたりで話していたの。あなたのことでね」と返した。そこへ「ふたりで話し合った結論から言おう」とエンディーグが切り出す。
「もしお前がこれまでの非礼を許してくれるならば……神都の将として仕官するつもりはないか?」「仕官?俺を部下として使いたい、とでもいうのか?」と訊ねるアレンに、エンディーグは「部下にするつもりはない。まあ、公の場では部下のフリくらいはしてもらいたいが……」と答える。単に友として、フィフリィ同様近くに置きたいのだという。
その誘いに礼を言いつつも、アレンは「俺に、その気はない。そんな大層な人間じゃないだろう」と正直に告げた。しかしエンディーグはその言葉を否定する。「そんなことはない。お前はこの間私に勝ったではないか。この3人の中で誰よりも強いと私は思っているが」と、アレンの実力を高く評価した。それに対しアレンはなおも謙遜する。「……前に勝てたのは、運がよかっただけだ」
するとフィフリィが、アレンの実力を再確認することを提案した。「そう言うなら、今度は3人でもう一度試してみましょう」「受けてくれるか、アベリオル?」とエンディーグも乗り気だ。アレンは少し考えてから「戦うこと自体は、別に構わない。いい訓練になりそうだ」と対決に臨むのであった。
◆ 戦闘終了後 ◆
エンディーグは楽しげに笑い声を上げた。「フッフ、フッフッフッフッ、ハッハッハッ!さすがはアベリオルだ。これほど御神将にふさわしいセプターはいない」そしてアレンに向き直り、挑戦的な眼差しを向ける。「どうだ、アベリオル?さすがに自分の腕を認めざるをえまい」
アレンは冷静に答える。「……そうだな。そこそこやれるようだ」そして再度、「それでも、仕官するつもりはない。仕えたとしてそれでどうなる?俺の記憶が戻るわけじゃない。おそらく、俺も、お前たちも悲しい思いをするだけだ」と、今度は理由をつけてはっきりと断った。
「たしかにそうかもしれんが……今の戦いを経ても記憶に変化はないか?かつてこのように戦い笑いあった。思い出せないか?」エンディーグは諦めずに言う。しかしアレンに取り付く島もない。「悪いが全く。お前は旧交を温めたつもりかもしれないが、俺にとってはただの訓練だ」そうして「期待にそえず、すまない。では」と告げ、その場を後にしようとする。
その背中に、フィフリィが必死に呼びかけた。「あなたが記憶を取り戻し、自らの意思で、仕官してくれる日を、私は待ってる」エンディーグもまた語りかける。「お前が消えたあの日から、我々の時計の針は止まったままだ。この思い……わかってくれるな?」その言葉にアレンは振り返らず、「もう少し、時間をくれ」と告げ、今度こそその場を後にしたのであった。
独り言「お前は旧交を温めたつもりかもしれないが、俺にとってはただの訓練だ」って言葉わりとグサッときますよね。そして我々の時計の針は止まったまま…とかいうわりには、結構ノリノリでアベリオル(アレン)のこと襲ってなかった??って思ってしまったw
5-5-2.最後の日
水晶の中に閉じ込められたアベリオルの姿をじっと見つめるルリエーナ。そんなルリエーナに、アレンが問いかけた。「ルリエーナ、アベリオルが月に飛び立った日のことを教えてくれないか?死へとつながる挑戦、アベリオルは恐れていなかったのか?」
ルリエーナは静かに答えた。「恐れては……いませんでした。でも、向こうの世界にどんな危険が待つかは、水晶の魔力をもってしても全く予想できませんでした」その日を思い出すかのように、悲しく呟く。「だから、わたくしは…必死に止めたのです」その言葉を聞いて、ユマが驚いたように問いかけた。「ルリエーナは反対だったの?」ルリエーナは再びゆっくりと話し始める。「はい、戻れないかもしれない旅に、あの方を送り出したくはなかった…。わたくしは、あの方に立ち向かいました。たとえ倒してでも、止めなければと」
その言葉にナイトホークは静かに問いかける。「アベリオルと戦ったんだな?……ガチで」ルリエーナは、その問いにうなずいた。「はい。でもあの方はとても強かった……。わたくしの手を取り払い、行ってしまったのです」ルリエーナは、悲しげにアレンに語りかけるように言った。「アレン様、あなたのお姿を見ていると…切なくなります。アベリオル様に勝てていたら、あの方を死なせずに済んだのに、と」
アレンはルリエーナの言葉を聞き、彼女の心情を察した。「後悔しているんだな……」そして、何かを提案するかのようにルリエーナを見た。「もし心の痛みを和らげたいなら、俺と戦ってみないか?」ルリエーナは少し驚いたように問い返した。「え、アレン様と……ふたりで?」「ああ、もしルリエーナが勝てれば少しは気休めになるかもしれない」そう答えたアレンに、ルリエーナは納得したように答えた。「そうですね。たとえ遊戯でも、あの時の気持ちに区切りをつけられるかも……」
「では、お言葉に甘えさせていただきます」とルリエーナは微笑んだ。それを見ていたユマは「勝たせるために手加減するの?」とアレンに問う。だがアレンはそれを否定した。「アベリオルは本気で戦っていたはずだ。手加減したら、再現にならない」アレンはまっすぐにルリエーナを見つめる。「俺も本気で戦うしかない。来いルリエーナ、勝負がどうなるかは……お前次第だ」
◆ 戦闘終了後 ◆
「すまない、ルリエーナ。勝たせてやれなかったな……」アレンの言葉に、ルリエーナは真剣な表情で答える。「いえ、お相手をしていただけて、感謝しています。そう……あの時も、こんな感じでした。わたくしは勝てなかった」そしてルリエーナは静かに続けた。「今、わかりました。なぜ勝てなかったか、その理由が」
傍で成り行きを見守っていたナイトホークは、その言葉に疑問を呈した。「理由って、アベリオルが強かったからじゃねえのか?」その言葉にルリエーナは真実を打ち明けた。「わたくしはどこか心の奥底で……勝ちたくないと思っていた。好きにさせてあげたいと、願っていたのだと思います」
その言葉にユマは驚きと戸惑いを隠せずに声を上げた。「も、でも……止めないと危ないと思っていたんでしょ?なのに、どうして……!」その問いにルリエーナは複雑な心境を語った。「ふたつの異なる思い……、しかしそれはひとつの心の表裏にすぎません。飛ぶために生まれた鳥の翼をどうして奪うことができましょう?行ってほしくないと願いながら、行ってほしいと願う……。思いとは複雑なものですね、トト」傍らにいるトトに語りかけると、トトは「ポー」と短く鳴いて応えるのであった。
ルリエーナの告白に、アレンは静かに納得したように言った。「そうか、行かせたのはお前の意志でもあったんだな」ルリエーナはうなずき、アレンの顔を見つめた。「はい、アレン様と戦ってそれに気づきました。それでも……せめてあと数日……あの方と過ごすことができたならと……」そのルリエーナの告白に、アレンは彼女を見つめることしかできなかったのであった。
独り言止めたかったのと、好きにさせてあげたかったのが両立してるっていう告白、わかる人にはわかりすぎる感情では。ルリエーナの心情の解像度急に高くなる回でしたね。
5-5-3.決別の儀式
「う、う、うう……」と泣き出してしまったルリエーナに、「今でもアベリオルのことを……思っているんだね」とユマは寄り添う。「はい、過ぎ去った日々は戻らない。わかっていても……あの楽しかった思い出が、残光のように揺れているのです。今も……」その傍らで、ナイトホークは落ち着いた口調で人生の機微を語る。「そういう思いは引きずって生きていくしかねえよな。思い出に変わるまで」
ルリエーナはナイトホークの言葉を聞き、アレンへの感謝と複雑な思いを抱えていた。「これでも一度は断ち切れたつもりでいました。しかし……」まったく同じ姿のアレンが現れ、眠っていた思いがよみがえってきたと胸中を打ち明けた。「もう少し、なにかしてあげられたら、なにかを分かち合えたらという気持ちになってしまって……」
ユマはそんなルリエーナの心情を汲み取り、アレンに新たな提案を持ちかける。「分かち合えたら……ねえルリエーナ、アレンと組んで一緒に戦ってみない?」と、優しく誘った。手を結んで戦えば、少しは気持ちが晴れるかもしれないという。
「いいよね、アレン?」と話を振られたアレンは構わないと応じる。「つかのまの代役ぐらいなら、できそうだ」と協力する姿勢を見せた。それを横で聞いていたナイトホーク。「アレンとルリエーナが組むなら、相手は俺とユマがするしかねえな。よし、やるか」意外にも乗り気なナイトホークにユマは驚く。それにナイトホークはフンと鼻を鳴らし、「俺は、気まぐれなんだよ」と笑った。
「人間同士なんて、しょせん乾いた関係さ。それでも忘れられない時はある。聖女さんよ、思う存分に気を晴らせ」その言葉にルリエーナは感謝の言葉を述べ「この戦いを、アベリオル様とのお別れの儀式に……しようと思います」と言うのであった。
◆ 戦闘終了後 ◆
ルリエーナは安らかな表情で全員に礼を述べる。「ありがとうございました。やり残したこと、できた気がします。おかげで過去と真っ直ぐに向き合えそうです」そして少し寂しげな声で「悲しいお別れでしたが……きっとあれはあれで、よかったのでしょう。アベリオル様は自由に生き、わたくしは、あの方の望んだ生き方を見届けることができたのですから」と語った。
その言葉にユマは優しく笑って言った。「そうだね……。アベリオルはきっと、挑戦したことを後悔してないと思う」ナイトホークも続く。「死んでもやり遂げたいことがある。そんな目標を見つけられた人間は幸せかもしれねえな」
ルリエーナは改めてアレンに向き直る。「アベリオル様は、最後にあなたをこの世界に呼び込みました。たとえ命は途切れても、希望はつながっている。あなたがいる限り……アベリオル様の意志は決して消えません」アレンはルリエーナの言葉を噛みしめるようにして、「そう言われると荷が重いが……。その通りかもしれないな」と返した。アベリオルの思いを引き継げるのは自分だけだとし、「できる限りのことをしよう。ルリエーナ、お前にも、この世界にも」と優しく期待に応えるのであった。
独り言ナイトホークがちょっと大人してる回ですよね。あとルリエーナめっちゃアベリオル好きやん…。あの楽しかった日々…ってめっちゃ感傷に浸るので、アベリオルとの日々はどんなに楽しかったんだい…?と思いますよね。アレンが結構クールなので想像できませんが、見た目が一緒なだけで明るい性格だったんでしょうか…。いやでもフィフリィ達にあなた変わったわね、みたいな話をされないし、案外同じ性格だったのだろうか…。
まとめ
月の正体=別世界への穴、そしてアレンはアベリオルの姿を借りた他世界のセプター…。ネタばらしの大変多い回でおもしろかったですね。ルリエーナがアベリオルの魂は昇華したって言ってましたので、水晶塔に残っているのは本当に抜け殻だけなのだとしたら、未だにおにいちゃんの帰りをまっているニーナがいたたまれない…。その辺アレンはどう説明するんでしょうね。なんだかんだで面倒みよくて優しいから、何も言わずずっとお兄ちゃんのフリしてそうな気もしますよね。
残る伏線は月の向こう側にいるらしい神と、どこかに身を潜めているサイク。と、それを追うゼネス!サイクはご丁寧に毎回刺客を差し向けてきてるので、今度はいったいどんな陰謀論を持ってくるのかある意味楽しみでもありますよね。がんばれ謀略神。
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